2つ目のポンプ作用の主役は前回無視したシャフトです、シャフトも太くなれば無視するわけにはいきません。図のように水を満たしたコップにシャフトを差し込んでいくと水があふれて外にこぼれます。 こぼれる水を作り出すのがシャフトのポンプ作用です。お湯一杯のお風呂に太ったお父さんが入るとお湯がこぼれるのも同じことでお父さんのポンプ作用です。
こぼれる水の量は差し込んだシャフトの体積、お父さんの体積と同じです。
ダンパーでも同じです、ダンパー室の中はオイルで満たされていてダンパーがストロークするとダンパー室の中へシャフトが出入りします、このとき出入りしたシャフトの体積分だけダンパー室からあふれたり戻ってくるのです。このようにダンパーのシャフトのストロークによりオイルの流れを作り出すことが出来るのです。
以上ピストンとシャフトというダンパーの2つのポンプ作用を説明しました。ダンパーはこれらによる2つのオイルの流れの片方、あるいは両方を使って減衰力を生み出しています。実はこれらのうちどちらを使うかはダンパーの性能に大きくかかわってくるので重要なのです。
一般的にシャフト断面積よりピストン面積のほうがずっと大きく生み出すオイルの流れもピストンのポンプ作用による流れの方がシャフトによるものよりずっと大きいのです、それとずっと後で説明することになるオイルの圧縮性とオイルの量が原因でピストンのポンプ作用で生み出された減衰力のほうがヒステリシスが小さくなるのです。
ヒステリシスについては別に説明しますがダンパーの重要な性能の一つで減衰力のレスポンスみたいなものだと思ってください。ピストンのポンプ作用で生み出す減衰力はシャフトのポンプ作用で生み出す減衰力よりレスポンスが良いです、詳しくはずっと後の上級編で説明します。