今回から何回かで減衰力試験機と減衰力特性図の見方について説明していきます。エンジンを組んだらベンチで測る、ダンパー組んだらダイノで測る、車を組んだら7ポストで測る、性能確認は必須の工程です。
減衰力試験機ですが仕組みとしては簡単なものでモーターでクランクを回してそれを直線運動に変換してサイン波を作り、ダンパーを押したり引いたりしてその力を測ります。
写真にあるのはみなその方式で下側にモーターとクランクがあり、上に力を測定するロードセルがついています。モータの回転数を変えて上下動の速度を変化させます。
レースチームやチューニング屋さんで使っているのはRoehrig、Dynamic Suspensions, SPA などが主なところでしょうか、国産では設備屋さんが作っていますが大きくて価格も高い物のようです。
クランク式はストロークを変えるのが面倒なのでストロークと速度を自由に変えられるようにクランクではなく油圧シリンダーを使った油圧式や電磁力を
使った電磁式のダイノもあります、これらはサイン波だけでなく自由な波形でダンパーを加振できますからサーキットで測ってきたダンパーストロークを使って車上のダンパーの動きを台上で再現することも出来ます、それで何が分るかというのはまた別の話ですが。
油圧式、電磁式は自由に加振できる分サイン波もクランク式のように自動的に作れるわけではなくてサイン波で動くようにアクチュエータを制御しないといけないのできれいなサイン波が出ていなかったりする事があるので要注意です、特にダンパーのバンプとリバウンドの減衰力が大きく違うと押しと引きで速度が違っちゃったり押しから引きのつながりが悪かったりします。
ですから特別な目的がなければクランク式を使うのがお勧めです。
試験機で減衰力を測る時何個かの違った速度で加振するのですが、それはモータの回転数を変えて行うと上で書きましたがモーターの回転数が変わることから、つまり加振の周波数が変わることから、「周波数が上がっていくと減衰力がウンヌン」とか言う人がいますがあくまで試験機はダンパー速度と力の関係を測定する物でその速度を変化させる為に加振周波数を変えているのだという事を覚えていてください。
ちなみに加振周波数一定で速度を変えるにはストロークを変えればいいのですがクランク式では大変です。減衰力の周波数依存性についてはまたどこかの機会で。
JASO(自動車技術会規格)ではストロークは+/-25mmで決まっていますがレース用のダンパーはそんなにストロークがなかったりしますからチームや会社で独自に決めたストロークを使っていてだいたい+/-10mm か +/-15mmあたりじゃないでしょうか。