第27回

27. <ダンパー部品、リニアピストン>

ダンパーの部品についていくつか説明していきたいと思います。
始めはピストンです

ピストンはシム式の減衰力バルブの要の部品です。ピストンのタイプとシムの積み重ねの組み合わせで希望の減衰力が出るようにチューニングするのですがおおよその特性はピストンが決めるといっても過言ではありません。
始めに希望の減衰力特性から必要なピストンを選び所定の減衰力が出るようにシムの組み合わせを決めていく、というのがダンパーの仕様出しの手順になります

ピストンのデザインには大きく分けて花びら型と円周型の2種類があり、花びら型はリニア、円周型はダイグレッシブな減衰力特性になります。
ここでリニアとは減衰力特性が速度に対して比較的まっすぐ(線形とか言うと学がありそうに聞こえます)、ダイグレッシブは逆バナナといいましょうか傾きがだんだん小さくなっていく減衰力特性です。

花びら型のピストンは通常はまっ平ですから減衰力特性に明確なKneeは見られず、シムがだんだんに穴を開いていくのでリニアな減衰力特性になります。
花びらも色々なデザインがあって2枚、3枚、4枚、5枚くらいまで花びらの数があります。これらはまあ設計者によるもの言っていいと思います、リニア具合がちょっと違うくらいです。
花びら型のピストンの場合シムは円錐状に開くのではなく穴のところだけシムをめくるように開くので3枚花びらの場合3箇所でシムをめくるように開きます。ですから花びらの数が多くなるとシムが波打つように開くのと一箇所が小さくなるのであまり好ましくありません。
まあ3枚か4枚がいい頃合のようです。


花びら型ピストンのデザインはそれこそ花の数ほどもありますが、凝ったデザインは加工が手間で高くなるのでまっすぐの穴が何個か開いてるだけみたいなコスト重視のものもあります、こういうものは花びらのふちが広くなることが多くシムの張り付きの原因になるので好ましくありません。
シムの張り付きとは穴の周りにシムがべた当たりしてシムが張り付きスムーズに開かない事をいいます、テーブルの上に置いた薄い紙を上に早く持ち上げると紙がテーブルに張り付いたように持ち上がりにくいですがそれと同じことです。
緑の背景の写真で左から3番目はシムの当たる面が大きく張り付き易いかもしれません、この中では一番左がカッコも性能もよろしそうです、値段もよろしそうですが。
左に縦に並んでる黒いピストン3個もよろしそうです。

花びら型のピストンでシムにプレロードをかけようとするとピストンの表面を円錐状に削らないといけません、1°とか2°とか見ても分らないくらいの角度です。
違った角度のピストンが混ざってしまったり角度がばらついたり、円錐の面がきれいに出ていなかったり何かと性能が不安定になる元になるので出来るだけ避けたい加工です。

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