前回説明したダブルチューブと兄弟関係でno.14で説明した標準的ダンパーそのものです、空気だまりとバンプ減衰バルブが入ったリザーバーと呼ばれるものがメインのダンパーボディとホースや橋渡しで繋がっています。
レース界ではこれが最も一般的なダンパーです、“別タン“とか変な略され方をしているダンパーです。
もうあまり説明の必要はありませんね。
長所は加圧の必要がない、空気とオイルが分離されている、空気だまりが別置きになっているので全長に対してストロークが長く取れる、あるいは同じストロークで短い全長で作れる、放熱性がいいなどです。
弱点はコストが高い、横にかさ張るなどです。
レーシングカーのダンパーといえば通常はこのタイプというぐらいレース用としては一般的な形です。 やはりかっこいいからでしょうか。特に左図は”ピギーバック“と呼ばれダンパーが空気だまりのリザーバーを背負っているような形でかっこよろしい。
逆さまにしても平気ですし、フォーミュラカーのようにギヤボックスやモノコックの上に水平に置いても平気です。これがレース車に多く採用される理由でしょう。
加圧なしでも問題ありません、実際2輪のリヤの2本ダンパーで使われている物では加圧していない物があります。でもレース用は最低でも5気圧位加圧しています、やっぱりかっこいいからでしょうか。
実際はバンプの減衰力をリザーバー側で100%出すのではなく、ピストン側にも持たせているからです。つまりバンプの減衰力バルブをリザーバーとピストンの両方に持っているのです、標準ダンパーとモノチューブの中間みたいなものです。
バンプ工程の時リザーバーにあるバンプ減衰バルブによりダンパー本体の圧力は上がりますが、ピストンの減衰力バルブによりピストンより下の圧力は下がる、というややこしいことになっています。
ですから足して引いてピストンから下の圧力が+か0かはリザーバーとピストンの減衰力の割合と加圧ガス圧力次第ということになります。
これによって必要なガス圧力も違ってきます、ガス加圧量も標準ダンパーとモノチューブの間になります。
ざっくり言ってガス加圧量は5~10気圧位でしょう、モノチューブの半分位ですね。
じゃあ何故ピストン側にもバンプの減衰力を持たせて加圧するのでしょうか?
大した理由はないと思います、モノチューブと同じピストンを使ったらバンプ側にもいくらかはシムを乗せないといけないし位なものだと思います。出来の悪いチェックバルブは閉まり遅れが出て減衰力が抜けちゃうことがあるし。
レース用のダンパーは高価だから窒素ガス代くらいなんでもないし。
イギリスのダンパーメーカーのQUANTUMはモノチューブに比べて標準ダンパーはガス圧力を下げることが出来ると謳っています。
下記にはモノチューブと標準ダンパーの比較がきれいな絵で載っています。
http://www.qrs-j.com/Technology/lowFriction.html
とりあえずは見るのは絵だけにしておいていただければと思います、いろいろこちらの解説と食い違う論争のたねになりそうなこともかいてありますので。