第16回

16. <ダブルチューブダンパー>

モノの次はダブルでしょう。 ダブルチューブですからチューブが2重です。

見た感じは違いますがダブルチューブダンパーはno.14で説明した標準的ダンパーと構成は全く同じです。
標準的ダンパーのバンプの減衰力バルブがダンパーの底に、空気だまりがドーナッツ断面になって二重になったチューブの間に収まったと思ってください。

no.14で説明したようにこのダンパーはバンプ、リバウンド共にオイルを圧縮して圧力を上げて減衰力を出すので加圧する必要がありません、つまりガス代とガスを入れるための方策が要らないので安く出来ます。

また少々オイルが漏れても平気です、2重の筒の間のオイルがなくなって内側の筒のなかにまで空気が入り込まない限りオイルが漏れても平気です。 元々加圧していないのでガス圧が下がることもないし。

ですから毎日何千本のダンパーを一本千円以下で作る量産ダンパー会社にとっては安くて安心なダンパーなのです、まあ今時オイルは漏れなくて当たり前ですが。
量産ダンパーのほとんど、ほぼ全部がこの形式です、ストラット、ダンパー単体の違いを問いません、外筒にスプリング受けを溶接してストラットにも使えます、ストラットなら強度も必要ですが外筒を厚くすればOKです。

弱点は重い、放熱性が悪いです、筒が二重ですから重くて当然です。
あと空気だまりがドーナッツ断面ですからフリーピストンの設置が難しいので使われず空気とオイルの分離が出来ません。ですから悪路を走ると空気がオイルに混じってしまいます。

逆さにすると空気だまりの空気が内側の筒に入ってしまうので減衰力が出なくなってしまうので図の方向で使わなくてはいけません。
まれに長い間静止して置いておくと内筒の油面が下がってきてその代わり空気だまりの空気が内筒内に入ってきて中と外の油面高さが同じになってしまうことがあります、そうすると減衰力がスカスカになってしまいます。
これはしばらく走ればポンプ作用でエアは抜けるのですがレース用には使えませんね。

レース用にダブルチューブダンパーは見たことがありません、でも空気だまり室を別体にした標準型はレース用では最も良く見られます、やはり重さと空気とオイルの分離が出来ないことが最大の弱点でしょうか。

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