第7回で説明しましたようにダンパーにはピストンポンプ型とシャフトポンプ型がありました、シャフトポンプ型の各室の圧力も説明しとかないと片手落ちですね。
シャフトによるポンプ作用を使ったダンパーでもガス室(空気だまり)(図の上室)の圧力は変化しません。圧力が変化するのは図の下室です。
またリバウンド、バンプに分けて見てみましょう。
リバウンドではシャフトが抜け出て行きますから下室の体積が拡張します、ですから圧力は下がります。
バンプではシャフトが入り込んできますから下室は圧縮されて圧力が上がります。
バンプ、リバウンドでの圧力の上昇、下降に注目してください。ピストンポンプ型と逆です。 これがポイントです。
ピストンポンプ型ではリバウンドで下室の圧力が上昇し、シャフトポンプ型ではバンプで下室の圧力が上昇するのです。
減衰力は圧力差があればいいので下室の圧力が上昇でも下降でも関係ないのですが圧力にはちょっと事情があります、圧力にはマイナスがないのです。
圧力の最小値はゼロ、真空です、だから下室の圧力がゼロになったらそれ以下にはならなくて圧力差を増やすことが出来なくなってしまいます、つまり出せる減衰力に制限が出てしまうのです。
圧力の下降を使って圧力差、減衰力を出す場合、下室の圧力がゼロにならないように元々の圧力(ガス圧力)を高くしておきます。 ピストンポンプ型の代表選手であるビルシュタインなどは20気圧程度のガス圧力を持っています。
いつもオイルを圧縮して圧力を上昇させて減衰力を出せれば高い圧力も必要ないのに、と考えてみるとうまい手があるのに気がつきます、バンプとリバウンドで2つのダンパー型式を使い分けるのです。
リバウンドの時にはピストンポンプ型、バンプの時にはシャフトポンプ型を使うのです、そうすればどっちの工程でも下室の圧力は上昇します。
実際に乗用車のダンパーのほとんどはリバウンドはピストン、バンプはシャフトを使ったダンパーです。だからガス圧力は1気圧、大気圧、でガス室ではなく空気だまりになります。