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ソラーロ山頂の神秘現象
その日は一点の雲のない快晴だった。
船がカプリ島入り口のマリーナ・グランデに近づくと、ソラーロ山を背景に白い町並みが点在し、
紺碧の海に色とりどりのクルーザが浮かびんでいた。
第一の観光名所の”青の洞窟”観光には、絶好の日和と期待に胸を膨らませてボートを待っていたが、
船頭さんが昼食後の休息時間と言うことで、4〜50分してやっと乗船できた。
島の裏にある洞窟の入り口に着いたところ、波が所定より僅かに高いと言うことで、中に入れなかった。
事前に写真などで見ていた洞窟内をあれこれ想像しながら引き返し、次の名所のソラーロ山(589M)に登った。
山頂へは一人乗りの古いリフトで数十分かかった。リフトの下には、白い集落と点在する白い家々、
リフトの真下で、家族5人が庭のテーブルを囲んで食事をしていた。
山頂の展望台からは、カプリ島の全景はじめ、周辺の石灰岩の海底を想像させる青白く澄んだ海の向こうに、
ナポリやヴェスビオ火山も見えた。
かなり広い展望台を一周してふと空を見上げると、視線のやや上あたりが
眩しいほどに金色に輝き出し、
見る見るうちに海面にまで広がった。
あまりの美しさに驚嘆しながら、周辺にいた観光者に向かって叫んだが、聞こえないらしく
妻と二人でもう一度その方角に眼をやると、瞬く間に消えていった。
あれは何だったのか。
聖書のどこかに書かれていた情景もこの様な現象ではないかと思った。
山腹に広がるぶどう畑は、500年も前か山腹の岩石を少しずつ砕いて段々畑にしてきたとのこと、
それも日本の棚田のように緩やか傾斜ではなく、丈の低い葡萄の木が二列にやっと並ぶ幅2メートルほどの畑が、
高さ1メートル数十センチの垂直の石垣で築かれている。
風の強い日には葡萄の木に添え木をしたり、崩れた石垣を補修して、いまの広大な畑になったという。
ローマの遺跡の前の路上で写真集などを売っている男から買ってやると、”アリガトウイイオトコ”と叫び、
要らないと言うと”ビンボウ”と笑顔で叫ぶ陽気なその日暮らしのイタリア人とは別に、
代々黙々と岩石の中の葡萄畑を守ってきた人もいたことに感動した。