石田さんの冬の北海道ツーリング

   はじめに
 去年(2002年冬)の2月頃雑誌で冬の北海道ツーリングの
記事を見ておもしろそうと思いその場で行く事を決意。そし
てネットで情報収集。足つき性やスパイクタイヤの安さ、雪
道じゃスピードはいらないのでバイクはカブに決めました。
知人から6月にカブ50を3万で購入。装備は風防、ハンドル
カバー、グリップヒーター、レッグカバー、オイルはモービル1
の0w−40。
 安い物しか買わない僕のテント、寝袋は五千円以下。これ
では無理なのでテントはマジックマウンテンのアルパインライ
ト、寝袋はモンベルのダウンハガーの一番とウォームアップ
シーツを買いました。靴はバフィンのブーツ。上はスノーボー
ドのウェアに防寒ジャケット、下はオーバーパンツ二枚。準備
万端で北海道に挑みました。

 
2002年 12月26日
 27日に仙台から予約を取っていましたが早く行きたいので大洗からのキャンセル待ちに賭けて仕事が終わってから急いで大洗港へ。10時頃着。日頃の行いがいい?せいか空きがあり乗れる事ができました。近くのスーパーに買い物に行ったら惣菜や弁当が半額。思わずたくさん買い込んでしまいました。そして24時出港しました。

 
12月27日
 船の中はすることが無く風呂入って寝て地図見てタバコ吸って携帯でNORTHBBSを見ての繰り返しでした。20時苫小牧着なので船の中から港に近い宿をとりました。期待してた雪はまったくありませんでした。宿のおばさんにバイクで来たことを告げるとびっくりしてました。話も早々に切り上げ荷物を降ろしタイヤ交換のためスタンドに行きました。(減ったらヤダのでスパイク積んできました)家でタイヤ交換の練習はしてきたのですんなり出来ました。明日に備えグィと飲んで寝ました。

 
12月28日
 さぁ今日からが本番。富良野に向かって7時に出発。だがまったく雪がない。日高に向かうとだんだんと雪道に・・・アイスバーン、圧雪路になってきました。スピードは20−30キロ、50CCでは登りません。滑ることはなく普通に走れました。ですが氷の溝にはまると荷物満載のせいか車体が振られコケはぐったのは何回もありました。ヤバそうな道は両足を地面に着けて滑らせ、補助輪代わりにして走ってました。チェーン脱着所で新雪の中で遊んでいたらコケました。新雪ではスパイクがきかない事がわかりました。バイクを起こそうとしてもタイヤが滑って起こすのに苦労しました。
 昼間でもマイナス5度ありシールドが息で曇ってしまい開けて走ったりしてました。途中のパーキングでおばさんにサンドイッチと励ましの言葉をもらいうれしかったです。雪道を楽しみながら3時半頃富良野に到着。通年営業のライダーハウスは閉まっていたのでとりあえず交番へ。お巡りさんはあちこちに電話してくれたりと、とても親切でした。結局宿泊はやめてキャンプすることに公園へいきました。雪を足で踏み固めてテントを張りました。初めての雪中キャンプなのでうれしくて笑顔で踏み固めてました。外は夜でもあまり気温が下がらずマイナス5度ぐらいでしたが風がなく快適な食事でした。

 
12月29日
 六時起床。さすがダウンシュラフ。寒さは微塵の感じませんでした。テントの内側は水蒸気が凍って粉雪が着いてました。外も寒くなく昨日の鍋の残りにうどんをいれて快食。八時出発。美瑛に着く頃には雨が降ってきました。国道にはほとんど雪はありませんでした。ハンドルカバー、手袋、上着がだんだんと濡れてきたので美瑛の丘の景色もきれいに見えませんでした。そして旭川を過ぎ比布へ。
 今日は濡れた物を乾かせる為に宿情報のため交番へ。宿はこの町のスキー場の横の3軒しかないと言われそこに向かいました。途中バイクとすれ違い手を上げて挨拶を交わしました。きっと宗谷を目指してる人だなぁと感じました。宿に着いて聞いてみると満室。電話でほかの宿にも聞いてもらったが満室。すぐ日は落ちてしまう時間だしかなり焦りました。すると民宿を紹介してくれました。(ていうかほかにもあるんじゃん、嘘つき警官めハラハラさせやがってと思いました)
 地図を描いてもらいとほ宿(夕休)へ向かいました。するとさっきのバイクが・・・やはり宗谷を目指して今年で三回目と言ってました。早速濡れた物を干しました。これでひと安心。飯もいっぱいあって満足でした。一日余裕があるので明日はスノーボードをやることにしました。夜は雪が降っていて明日のゲレンデも期待できそう。オーナーと宿泊客と酒を交わしながら楽しい夜をそごしました。一時頃就寝。

 

 
12月30日
 八時起床。外は快晴。スキー場まで5分ぐらいだし、暖かいのでスノーボードのウェアだけで出発。これが後に・・・人も少なく、リフト券も飯付き五時間で2500円と激安。昨日の雪で雪質はバッチリ。山頂から見た景色はどこまでも白く続く田園風景に感動しリフト乗るたびに振り返って見てました。飯以外休まず4時まで滑ってました。
 帰り道を横目で確認しスタンドへ・・・帰りに山に続く長い坂を発見。Uターンしてバイクが進めなくなった所まで行きました。日も落ちて暗くなってきたので宿に帰ることにしました。が迷ってしまいました。この辺りは碁盤の目のような道で似たような造りの家が多かったのです。うろうろしてるうちに一気に冷えてマイナス9度。薄着で体は寒く、ヘルメットのインナーに使ってた目出し帽も被ってこなかったので耳は痛いし、雨で濡れたハンドルカバーは宿の部屋の中、グリップヒーターもハンドルカバーなしじゃまったく効果なしでした。身の危険を感じながら30分後やっと宿にたどり着きました。明日はいよいよ稚内。230キロぐらいあるので早めに出て本気で走らないとまずい。

 
12月31日
 6時起床。単純計算で30キロで8時間。ゆっくりしてる時間はなく急いでパッキング。エンジンはまったく問題なくかかりましたがフロントブレーキはワイヤーなので凍って動きませんでした。リアはロッドなので問題なしでした。朝飯のおにぎりをもらい七時に出発。除雪されていて走りやすい。9時にコンビニで朝飯。50キロしか走れませんでした。ハンバーグを買いましたがあっという間に冷めました。それよりも手がかじかんで感覚がなくなってきたので一服もせず走ることに・・・途中頭が痛くなってきました。かき氷を一気に食べたときになるあの症状です。軽く吹雪いてるし、山の中だし休みたいのに休めないという状態の中一時間走り道の駅美深に着きました。
 ホットコーヒーを買いトイレの中避難。おでこなどに当てて休憩。そして冷える前に一気飲み。外に出るとSL230がありやはり宗谷を目指して来た人でした。音威子府辺りから天候が悪化し、吹雪だして道には雪が積もり氷の溝は見えなくなり、それに乗ったり降りたりで車体は常に振られてる状態で一時も気が抜けませんでした。そしてとうとう初ゴケ。前触れもなくいきなり前輪がすべりました。スピードも遅いせいかまったく痛くありませんでした。二度目もすぐにきました。シールドを手でぬぐった瞬間車体が振られコケました。三、四回目はリアが流れ出し90度回転しました。
 そして海沿いへ・・・稚内まで60キロ。後二時間だ。海沿いの道はあんまり雪がないのですがスピードは30キロ。途中3台のバイクに抜かれアッという間に見えなくなってしまいました。五時ちょいにやっと宗谷岬につきました。隣のスタンドに急いで行きました。明日はやってないという情報を聞いたので・・・ガソリン満タン、予備2.5リットルこれで明日の分は確保。
 岬は風が強い。風速16メートル。一人でテントを立てるのはかなり困難ですが周りの人が手伝ってくれてなんとか立てることが出来ました。そして特製のアンカーで固定しました。周りのテントを見るとスコップで穴を掘って掘った雪で壁を作ってました。荷物をテントに入れやっとゆっくり出来る時間が出来ました。バイクは40台ほどありました。チャリで来てる人もいてびっくりしました。寒いのでトイレにいって中にいた人と喋ってました。向かいのバス停せ宴会やってるというので行ってみたけどいっぱいで立ってる場所もないので諦めました。飯を作りたいけど外は強風だしテントの中じゃ水蒸気がこもって凍るしだろうし・・・外を探しにでると売店のガラス張りの二重ドアの間に光を発見。
 行ってみると三人組がいました。そこにまぜてもらう事にしました。かなり快適です。途中テントが心配で吹き飛ばされてないか確認したりしました。ラジオで紅白聞きながらみんなで飲んでました。12時には岬に人もいっぱいいました。

 
2003年 1月1日
 外が騒がしく7時におきました。外に出たとたん花火が上がりました。岬には300人ぐらい集まっていて干支のキーホルダーをもらうために行列が出来てました。私も並びキーホルダーをゲットしました。飯を食って10時に出発。この頃にはほとんどテントもなくなっていて、人もほとんどいませんでした。稚内市へ向かいオロロンラインへ。オロロンラインはまったく雪がなく100キロ以上出せる道でした。そんな道でも30キロしか出ないので悔しいです。スピードさえ出れば時間短縮できるのに・・・羽幌に着く頃は暗くなってしまいました。
 海沿いの町は風が強く暗くなってるしテントを張るのが面倒なのでバス停で寝ることにしました。(昨日の3人組がバス停で寝たと言っていたのを思い出したのです) バス停には照明もついていて隣にはトイレもあって向かいにはコンビニもあるという最高のバス停を発見。そして近くの温泉で体を温めました。風が強いのでバイクを街灯に縛りつけました。飯と酒を買って中に入ると寒い。想像とは違いました。風も強いし、いまさらテント張るのは面倒なので諦めました。(寒い中走ってたし風はないからだいじょうぶだろうと判断)寒いので九時頃無理やり寝ました。

 

 
1月2日
 寒くて一時に起きました。コンビニは閉まっていたので自販機にコーヒーを買いにいきました。そしてまた無理やり寝ました。除雪車の音で目が覚め6時にコンビニに避難。まだ暗いので1時間ぐらい立ち読みして飯食って出発。3時ころ札幌に到着。すすきの交番に行ってカプセルホテルの場所を聞きました。風呂入ってのんびりしてから街へ繰り出しました。
 ホテルを出るといきなり激安に焼き鳥屋を発見。焼酎1杯130円。吸い込まれたのは言うまでもありません。一人で飲みに行くのは初めてで妙にワクワクしました。良い気分になったので街へ。客引きをからかってみたりしながらブラブラしてました。

 
1月3日
 いよいよ北海道を離れる日。苫小牧までは近いのでゆっくり風呂入って外に飯食いに行ったりしました。時間があるので支笏湖回りで苫小牧へ。そして18時45分、北海道を後にしました。

 
おわりに
 初めて雪道を走りましたがとてもおもしろかったです。ダートとは違い滑りだしが急でした。30キロというスピードだからなんとか走れたのかもしれません。大きな転倒もなく無事に宗谷岬に着けたという達成感が最高でした。そして一面の白い世界。広い大地の雪化粧は神秘的です。もちろん来年も行きます。