写真に付きましては、本人の承認を経て、SSER主催者側撮影の物も使わせて頂いています。

09年 TBIチャレンジ日記 

   プロローグ

パリダカマスター菅原さんの20年連続完走祝いミーティングに行った時、
そこにいたTBI仲間のY口さんとM利ちゃんがチームエントリーのサポート
ライダーをあと1名探しているという。3名以上のチームエントリーをビバー
ク地でワークスライダーよろしく彼らがサポートしてくれると言うのだ。(今
回彼らはサポートで参加希望。)
 常々TBIにはまた出たいと思っていたのだが、夜のバイク整備やタイヤ
交換で気が重くなっていた軟弱なオレ。まさに夢にまで見た理想の環境で
はないか!サポート整備の傍で飲むビールも旨いに違いない。決めました。
行きます!ところがそれからチーム員が一人、二人脱落し、結局出走する
のはボク一人に。ライダー1人に2名のサポート。なんとも贅沢なTBI参戦に
なったのでした。よろしくY口さん、M利ちゃん!

  DAY−0(4/28)

 
午前中で仕事を切り上げてトランポにXRを積んで出発。車検地の今治をめざしてひたすら高速を西に走る。夜8時頃、順調に西宮SAを通過。日付が変わって休日に高速を降りればETC1000円割引だ。と思ったら、山陽自動車道への分岐を見落としそのまま中国道へ入ってしまった。が〜ん痛恨のミスコース!ETC割引のため一旦降りることもできない。結局中国道〜岡山経由で50キロほど大回りしてリカバリー。さっそくのトラブルは今回のTBIを暗示していたのでした。

  DAY−1(4/29) 糸山−道後 78.08km 

 
途中のパーキングで寝て、しまなみ海道経由で車検会場のサンライズ糸山特設会場に向かう。快晴で瀬戸内の海が素晴らしい。今年は参加者が少なく50人を切っている。会場で出会う人も古参が減ってちょっと寂しい感じ。
 今回サポートしてくれる二人とはここで無事合流。タイヤや荷物は彼らに預け、車検をチャッチャッと済ませコマ図もバッチリ巻いた。いつもよりのんびりムードの中SSER代表山田さんのミーティングが始まった。「え〜〜、SS中崖落ちしてる人を見かけたらオフィシャルに連絡するように。ゼッケン25番が落ちてますとか…。25番ってだれ?」…それワタシです。ちょっとばかし不吉な予感がしたが、気を取り直してグランドスタート。3、2、1、Go!この瞬間、やっぱりいいなぁ。いよいよ今年のTBIがスタートした。
 今日はここ今治から松山までのショートコース。でも早速SS1が組まれている。が、直前の温泉でピットイン!今回の目標はたっぷり温泉も入って“もう一つのTBI”を満喫することでもある。十分リラックスした後SSイン!ところがなんだか調子が出ない。練習不足とさっきの「崖落ち」が頭をよぎる。オレって小心者。今日の宿舎は何と道後温泉!…のそばのドミトリー。伝統ある道後温泉本館でSSの汗を流し、正面のビールバーで地ビールを頂く。ああ、こんなTBIを望んでいた。TBI最高!TBI万歳!と思ったのは今日まででした。


  

  DAY−2(4/30) 道後−引田 479.30km

 
道後温泉をスタートして朝一番のSS2に。今回のマシン、またもやXR250Rですが、前回06年に出場した時にいろいろ気になったあれやこれやを改造してスッキリ参戦!と思っていたのですが、結局変更したのはタンクのデカールのみ…。暗いライトもSS中ハンドルから手を離さないと巻けない手動マップホルダーもそのまんま。今回の意気込みの程が伺えます。
 そんななのでSSももう一つ乗れてない。それと、どうもコマ図の距離があわない。特にダートの距離が合わずそれもいまいち調子の出ない一因になっている。菅ちゃんたちに聞いてみても今回誤差が大きいと言っている。山田さんしっかりしてよ!
 この日は瀬戸内を望む山岳ルートのダイナミックなコースで、お天気にも恵まれとても快適。眼下に広がる川之江の景色も素晴らしい。ところがSS3に向かう途中フロントブレーキにカックン現象発生。どうやらブレーキピストンの寿命。まだまだ先が長いのに、とほほ。給油のためコマ図で誘導された市街地でCRCをゲット、応急処置をした。
 SS3は市街地からの登りの林道。まだ夕方の早い時間なので苦手な夜のSSも回避です。ブレーキも直したらなんだか調子良くなった様な気がする。吹っ切れたようにガンガン飛ばした。何台かパスして更に一台発見!大外で抜きにいったら勢い余ってオーバーラン!ブッシュに突っ込み反動で思いっきりクラッシュしてしまった。あちゃ〜。崖落ちでなくて良かったぁ。でもミラーを破損、キックも手間取り、さっきパスした方々全員そしてその他の方々にも抜かれ大幅タイムロス。傷心でSSアウトしたのでした。
 とほほな気分を温泉でさっぱりとなどと考えたのですが、ここまでの距離約300キロ。本日のゴールまであと180キロ。ん、180キロ?!!とすごいことを発見。もう日は傾き、マキシマムタイムまで 5時間しかない。これっていっぱいいっぱいジャン。よくよく考えたら今までの1日の最長距離はボクの知ってる限りで400キロ弱。この日は480キロもあるではないか!確かにプレスには書いてあった…この日は記録的な距離を走ることになる…。泣く泣く温泉はあきらめ、ひたすら走った。祖谷峡を越え美馬をぬけてなんと東かがわ市までやって来た。結局四国を西から東まで横断してしまった。そして夜9時をまわる頃やっとやっとゴール。長かった〜。
 ビパークではサポートの二人がボクのテントも建てて冷たいビールを用意して待っててくれた。感謝感激ありがとう!サポート最高!ホントうれしかった。今日の疲れも吹っ飛びました。

   DAY−3(5/1)引田−船津 436.94km
 
 
今日も昨日に引き続き400キロ超え。しかも剣山スーパー林道も通る。マキシムタイム15時間はいっぱいいっぱいのはず。でも今日こそなんとか頑張って温泉に入りたい!昨夜のビパーク地は珍しく香川県内。スタートすると鳴門方面へ。鳴門の海を望み鳴門大橋の下をかすめるダイナミックなルートだ。昨日に引き続き、山田さん素晴らしいです。
 鳴門を離れて再び四国の中央へ大きくルートをとる。見ノ越峠に到着したところで早めの昼食にすることにした。前回山田さんの策略?で食べ損なった祖谷そばをいただく。ここで菅原さんとご一緒することに。最近のパリダカの裏話など貴重なお話や内緒話しを聞かせていただきました。

   

 京桂峠を南へ入った定番の林道がSS4。ガレた林道なのでリム打ちに注意しつつプッシュ。SSゴール地点はとても見晴らしの良い峠。景色を堪能してから気分良く下って行った。しばらく走っているとフロントから違和感が。まさか…ガ〜ン、パンクだ!! TBIでのパンクは初めて。というかXRでのパンクが初。こんなときに限って練習すらしていない。とはいえここは覚悟を決めて修理に取り掛かる。
 サブスタンドを持ってきていなかったのでバイクを倒して慎重にシャフトを抜いて…。記憶をたどってもたもたやっていると一台の車が傍らに止まりスタッフがビデオを構えて降りてきた。「やあ、いい絵ですね〜」ビデオクルーだ。うれしそうに「どうしたんですか?」「いや〜パンクです。」くそ〜、見ればわかるじゃん(T T)。
 ビデオに撮られながらアセアセ作業をしていると、バックマーカーのスタッフ車まで追いついてしまった。つまり最後尾になったらしい。結局久々のパンク修理は1時間近く要する大作業になってしまった(遅すぎ!)。時計を見るともう3時近くになっている。マキシマムタイムまで6時間。ここからキャンプ地までまだ230キロ超。しかも剣山スーパー林道など本格的なダートはこれからだ。ちょっと計算したらもう間に合わない!これは大ピンチ!まずは100キロ先のCP1がヤバイ!!ダッシュで走り始める。今日も温泉は無理決定(涙)。
 今後を考え奥物部で満タン給油、べふ峡を通り(みんなこの辺りでくつろいでたんだろうな…悔涙)剣山スーパー林道に入る。ダートに入ってもアクセルは緩めない(緩められない)。相変わらずダートで距離が合わないが、ここはスーパー林道一本道のはず。最後尾の単独走行で心細かったが知ってる林道で良かった。CP1は林道途中の峠の茶屋だった。開設リミット5時ギリギリで到着。セーフ!「最後ですか?」「最後。頑張って。」

 
休憩無しですぐスタート。ずーっとノンストップで走り続け、6時半にスーパー林道を抜けた。缶コーヒー一本流し込んですぐまたスタート。何人か抜いてシンガリからは脱出。だが、レッドゾーンに変わりない。それから道は南下し室戸方面へくねくねくねくね。日はとうに暮れて真っ暗だ。SS5まであと10キロの時点で時計を見た。マキシマムタイムまであと40分を切ってる。残り30キロ強。#※&$間に合わない!!そこからさらにダッシュを加速。時速***キロ、ごめんなさい。SSに到着、空気も抜かずにすぐスタート!とにかく走りきってキャンプ地へ急ぐ。
 しかしSSを抜けてからもダートの長いこと長いこと。なんとも意地悪なコース設定。ダートを抜けて最後のくねくねを走っていると菅原さんに追いついた。抜きつ抜かれつ一緒にゴール!時間は?!!リミット3分前!!!やった〜!オレは勝った!!!今大会最大のクライマックスをオレはついに乗り越えたぞ〜〜…とその時は思った。
 この日のルートはトラブル無しでもきつかったらしく、油断したり給油のタイミングを誤って(キャンプ地近くで給油するためには市街地へ迂回しなくてはならない設定だった。)タイムアウトになる人が続出。上位陣を含む大量10台、実に5台に1台以上がマキシマムタイムオーバーという波乱の一日となったのでした。

  

 パンク修理からオシッコさえしないで9時過ぎまで走り続け、さすがに身体はボロボロ。しかし、ボクには心強いサポートが待っていてくれた。Y口さん、M利ちゃん後は頼む!早速作業着に着替えてやる気満々のY口さんがタイヤ交換に取り掛かってくれた。サポートいてホント良かった。ところがタイヤは固いと評判のミシュランコンペV。「こんな固いタイヤ、交換したことないよ〜」と次第に泣きが入り四苦八苦。
 結局タイヤ交換が終了したのは夜12時をまわっていた。しかもフロントタイヤに空気を入れたら手応えなし…チューブを噛んでて本日2度目のパンク…泣。再度組み直し全ての作業が終わったのは深夜1時だった。これは自分でやったほうが早かったかも、トホホ。とは言え全て自分でこなすのは体力的にも無理、ちょっと寝不足だけどサポートのおかげ、と感謝しつつ2時過ぎにやっとやっと寝袋に入ったのでした。

   DAY−4(5/2) 船津−四万十町 442.10km(−38.31km) 

 今日も快晴。ルートは四国の山岳部を再び西に進み、四万十へ向かう。朝ちょっとしたサプライズがあった。なんとあの山田さんが朝の調理場にたち、皆のために特製チャーハンを振る舞ってくれたのです。今回は参加者が少なくて小ぢんまりとした大会になったけど、その分参加者とオフィシャルの距離が短い感じがする。皆で日々乗り切っている感じ。山田さんもなんだか楽しそうです。

 

 今日はもう一つ、コースの変更が張り出された。前半のコースの一部がカットされ、CPも1ヶ所のみとなる。距離も40キロ弱短くなる。 昨日の山場を乗り切ってすっかり気を良くして本日のスタートラインに立ったボク。ここまで中盤ともう一つの成績もいよいよこれから勝負だ!今日こそ念願の温泉だ!と気合いを入れてバイクにまたがった。と、リアタイヤにムニュッといやな感触が…。恐る恐る覗きこむと、またまたパンクでした(T T)。どうやら昨夜のサポートのタイヤ交換で、リアもチューブを噛んでいたらしい。一晩かけてゆっくり空気が抜けたので判らなかった。さすがにこれにはへこんだ。でもすぐに決断しなくては。
 すっかり青い顔になってしまったサポートのY口さんたち(笑)と相談。スタートしてすぐSS6で開設時間も短いので、SSを抜けてからパンク修理することにした。SSタイムは捨てても焦って間に合わないよりましという判断だ。
 SSをゆっくり走りぬけ(悲)出口から少しいった道端でパンク修理を始めた。全員がSSを通過てしばらくしてY口さんたちサポートカーが追いついた。そして見覚えのあるバックマーカーのスタッフ車が停まった。「あれ?また?」「またです。」つまりまたまた最後尾になったというわけだ。原則スタートしてからのサポートは受けられないので、一人であせあせパンク修理する。1回の大会で2回もパンク修理なんて信じられない。昨夜のタイヤ交換中を入れると実質3回目だ。サポート隊の暖かい励まし(アドバイスとも言う)の中無事パンク修理終了。他のエントラントはもうずいぶん前に通り過ぎてしまっているのでここからは本当に一人旅。
 しかもしばらくダートが続くためマップの距離が合わない状態での単独走行は相当不安だ。とはいえ距離が不正確でもみんな走っているのだから大丈夫と言い聞かせて、サポートと別れダートに入っていった。しかし走りだすとやっぱり距離があわない。ここのY字路を左折のはず…。でもしばらく進むと行き止まり。がーん。慌てて引き返すと分岐にオフィシャルカーがいた。
 「ここでミスコースすると思ってたよ。」「ダートの距離があわないんです。」「大丈夫?」「何とか。」「落ち着いて。」だましだまし再発進。しかしやはり距離が合わない。単独走行がつらい。所々コマ図にある分岐が出現。距離はあっていないが感を頼りにコマ図通り進んでいく。最後に特徴的な石碑があって林道を抜けるはず…だった。が行けども行けどもその石碑は現れず、どこか知らない集落に出てしまった。ミスコース!!パンク修理で時間を使い、更にここでのミスコースは致命的だ。
 慌てて記憶を頼りに引き返す。見覚えのある分岐まで戻ってもう一度ナビし直すがやはり判らない。だんだん自分の居場所がコマ図のどの地点かも自信なくなってきた。最悪。ふつふつと腹も立ってきた。「そもそもパンクの原因はサポートのタイヤ交換じゃないか。サポート頼んだのに結果その為にミスコースのピンチじゃん。成績ももうダメだー。」色んな思いが頭の中を駆け巡った。 


「遅れた!遅れた! 急げや、急げ!パンク修理も慣れたもの♪まだまだ、挽回するぞ!(でも内心は不安だらけ・・・)」

 周辺をさ迷っていると地元の林道ツーリング(アタック?)集団に遭遇した。聞くとTBIと思われる集団を近くの道の駅で見たと言う。助かった!そこまでの道を教えてもらう。相当時間をロスしたけど昨日のように挽回してみせる!と教えてもらった林道をダッシュで下っていた。小さなコブを飛び越えた瞬間、バキッ!ガリガリッ!といきなりリアから異音が!急遽ストップ、今度は何?と覗くと、リアのブレーキディスクがとんでもないことに。

 なんとプラスチック製のディスクガードがショックで割れてねじれてリアブレーキディスクに接触、焼けたディスクで解けたプラスチックがディスク全面にべっとりと水飴のようにくっついていた。そして降りて停まったため冷めてあっという間にブレーキパットもろとも固着してしまった。 が〜ん。慌てて押したり引いたりしてみたが、すでにロックしてしまってもう一歩も動かない。う〜む、どうにもならん。

  

 呆然と立っているとさっきの林道アタック集団が追いついてきた。状況を話すと、皆であーでもないこーでもないと始まりリアブレーキ廻りを解体してみることに。ディスクと固着したブレーキパットだけにしてパットにマイナスドライバーを突っ込んだら「ベリッ」はがれました。相変わらずディスクにはプラスチックがべっとりなのだが、ブレーキを組まなければタイヤは回せるのでリアブレーキを我慢すればとりあえず走り出すことはできそうだ。アタック集団は「TBI凄いですねぇ、本物の速い人しか出ないんですよねぇ、頑張ってください!」と励ましてくれた。「よっぽどあんたらのほうが凄そうだよ。」と心の中で思いながらお礼を言ったのでした。

そのまま林道を抜けて集落に出た。
 トラブル続きで時刻はもう12時過ぎ。なのにスタートからの走行距離はまだわずか。もう本体集団に追いつくことなど不可能だ。しかもリアブレーキ無し。意を決しました。とうとうこの日が来ました。まず大会本部に連絡してここまでの事の顛末を報告、エマージェンシー封筒を開封することを告げた。そしてペリッペリペリペリ〜、エマージェンシーご開帳(涙)。
 フムフム、中の地図を広げるとCPが意外に近いところにあることを発見。しかも今日のCP1の開設時間は15時からと余裕の時間だ。これなら間に合って最低限CP不通過のペナルティは受けなくてすみそう。ラッキー。今度は山田さんから電話が来た「どうしたん?」。状況を説明し、夜のSSは回避しCPのみに向かうことを告げた。「ムリせんように」心配してくださって有難うございます。

 地図を頼りに安芸市から山へ上がりCPを目指す。ずーっと走った目印の温泉のあたりでオンコースに合流、コマ図をあわせる。その先からダートに入ってCPに向かうはずなのだが…またまたコマ図が合わない。今度はあるべき目印がなかったり、場所が全く違う感じ。それにCPのそばなのにエントラントに全然会わないのも奇妙。
 もう一度よーく地図を見る。と、もう一方のページにCP2が。むむ、そういえば朝のブリーフィングでCPが1ヶ所になると言っていた。どうやらブリーフィングでのCP1は1ヵ所に省略された元のCP2のことで、元の   CP1はコースカットで無くなってしまったらしい。どおりで開設時間が遅いはず。ボクはエマージェンシーの地図のCP1をみて、すっかりそれが今日のCP1だと思い込んでしまったようなのだ。落ち着いて考えれば判るはずなのに、やっぱりどこか動揺していたんですね。とほほ。
 再び安芸市に戻ったが、すでに午後3時前。朝から散々走って大騒ぎして、こんなにレポートも書いているのに、結局今日の全行程の1/5程しか走れていない。さすがに脱力しました。もう、CPもSSもあきらめて今日のビバーグ地、三島キャンプ場に向かうことにした。こうなったら美味しいものも食べて、温泉も入るぞ!高知から高速に乗り、まずは須崎市の道の駅すさきへ向かった。ここのかつおのタタキは絶品です。朝から何も食べていなかったのでお腹にしみるしみる。満足してキャンプ場そばの温泉へ。この辺りはツーリングでもよくキャンプするので詳しいです。ラリーゼッケンをつけての一人ツーリングはホッとしたような恥ずかしいような不思議な気分でしたね。
 久しぶりのお風呂に入って落ちついてきて今日のドタバタを振り返っていたらなんだか笑いがこみ上げてきた。よく考えたらなかなか楽しい1日を過ごしてるじゃないか。こんなラリーはそうできるもんじゃない。これはサポートのおかげかも。そう言えば昨夜山田さんが言ってたな「人のせいにしてはいかん」 。そうそう、サポートを頼んだのもボク、トラブルにあったのもボク、サポート隊がボクのTBIがもっと楽しくなるようにあの手この手でサポートしてくれている、そう考えたらなんだかむしろ得した気分にさえなった。

 

 キャンプ地についたら、そのサポート隊が準備を整えて待っていてくれた。まずは今日無事に戻って来たことを喜びあう。そして早速整備に取り掛かった。明日のスタートまでにブレーキが直っていなければ失格リタイヤだ。ここからはサポート隊が大活躍。
 まずは彼らがボクの状況を伝え聞いていて、高知中のバイク屋さんを探して中古のリアディスクを手に入れてくれていた。
 しかしこれは残念ながら時間的に間に合わないことが判明。仕方がないので現状のディスクを復旧する作戦に変更。溶けてこびりついたプラスチックをガストーチであぶりウエスで拭き取る。ディスクが熱で変形しないよう細心の注意をしながら、少しずつしか進まない気の遠くなる作業だ。
 それでもサポートのY口さん、M利ちゃんが順番に地道に作業してくれ、次第にディスク表面が綺麗になっていった。そして日付が変わるころ、解体していたリアブレーキに新品パッドを組み直してやっと作業終了。見事復旧しました。 ホッとしました。この作業はボク一人では絶対に出来なかった。今回リタイヤを免れたのは間違いなくサポートのおかげです。本当にありがとう、Y口さん、M利ちゃん!

 


   DAY−5(5/3) 三島−日平 355.67km

「かなり下位に落ちたんだろうなー」朝貼り出される総合リザルトを恐る恐る覗いてみると、それでも下から4番目だった。CP不通過、SS不通過など昨日あれだけペナルティをもらったのに上には上がいらっしゃるもの。私なんぞまだまだですね(^^;)

 今日のコマ図をみると走りだしてしばらくして温泉マークが。後の時間にも多少余裕がありそうなので立ち寄ることに。ラリールート上のお風呂は初日以来。やっとボクの求めたTBIです。昨日まで散々だったけど今までこんなにトラブル続きのことはないし、パンクだってバイク人生数回しかないのに、今回既に3回。さすがにもう打ち止めでこれからは穏やかな日々を送れるだろう、と思いましたこの時は。

 温泉から出て次のSSに向けて出発した直後、またそれは起きた。リアのパンク、今大会4回目。釘踏んでました(T T)。もう何もないと信じていただけにこれはショックです。
 温泉でせっかく綺麗になった体で泣く泣く作業を始めた。気力も萎えてビード入れに苦労しているとCRM50で参戦のW林君がやってきた。「まじ!またパンクすか!?どれどれ」と手早くビード入れを手伝ってくれさっそうと立ち去っていった。しばらくタイヤの組み付けにてこずっていたら見慣れたオフィシャルカーがやって来て傍らに静かに止まった。つまりまたまた最後尾になったようだ。

 

 パンク修理が終わって時計を見るとSS8の開設リミットギリギリの模様。また時間との戦いになってしまった。先を急いでいたら、道端に先ほどお助けしてくれたW林君が止まっている。なんと今度は彼がパンク。ボクのパンクの神様がうつったのか!?今度はボクがお助けです。 
 時間ぎりぎりにSS8に滑り込み、ガレガレの登りのSSを抜けるとそこで何台かのバイクが横になって集団パンク修理していた。パンクの神様はここにも派手に降臨したようです。これでやっとボクのパンクも打ち止めでしょう!
 SS9が中止になり時間にも余裕ができ、この日のCPは名物喫茶店「たぬき」でお茶とパンでまったり。やっとボクもみんなと一緒にTBIを送れるようになりました。考えてみればトラブル続きでここ何日かずーっと一人で走っていたなぁ。(しみじみ)
 しかし、今日のメインはこれから。TBI名物今大会最長25キロのSS10が待ち受ける。特に今回ボクのバイクはICOの距離計測に不安があり、タイムより暗闇の中いかにナビゲーションを乗り切り無事ゴールにたどり着くか、行方不明にならないかが最も重要な課題です。

 あたりが闇につつまれる頃いよいよ緊張のスタート。最初はほぼ道なりだけど、途中8キロ付近でブッシュに隠れた左後方へのタイトターンがありそこに気がつくかどうかが最大のヤマ。そろそろかと減速するものの距離がつかめずどうにも分からない。慎重にゆっくり走っていると後方から一台抜いてきて、さっと左に曲がって行った。そこだ!ラッキー!ガレガレのつづら折りを上がり道なりに進むと特徴的な標識のあるコマ図の分岐に出た。ICOの距離はあってないけどここに違いない、と左に曲がる。
 その後しばらく下りを走ったが、行けども行けども一人旅、今度は誰も一向に追いついてこない。路面を見てもわだちも見えない。おかしい。コマ図の距離はもう滅茶苦茶で、途中から勘で分岐を曲がっているだけ。不安になってバイクを止めた。バイクの来る気配は全くなく周りは真っ暗でとてもラリーコースには思えない。とうとうそこから引き返すことにした。そして看板の分岐のところまで戻ってようやく1台のバイクがやって来た。止めて聞いたら道はあっているはずという。他のバイクに会わないのは、今年はエントラントが少ないから。ラリーコース上にライダーも少ないわけだ。

 

 戻った道を再び戻りコースを道なりに進み、次のポイントとなる広場を鋭角にUターンするコマ図の分岐を探す。でもまた走れど走れどそんな分岐は現れない。すると不意に広場に出た。ここだ、ここでUターンだ、と思ったその先真っ直ぐ行った突き当たりのT字路にSSERのオフィシャルカー発見。ヘッドライトであちらへと行き先を照らしている。
「うーん、コマ図と違うけどライトで照らしてるし…」導かれるままに進んで
T字路を曲がった。がしばらく行って不安になりまたまた停止。どうしても広場のコマ図を通っていないことが気になる。しばらく悩んで再びUターン。オフィシャルカーのところまで戻ってみることに。

 が、オフィシャルカーが見える所まで戻って気がついた。SSの逆走は失格でした(T T)。暗くて誰かはわかってないだろうと再びUターン。何やってんだオレ。てかオフィシャルから見ても何やってんだあの人って感じに違いない。
 その後コマ図を一コマ進めるとさっきのT字路のコマ図を発見。どうやら道はあっていたらしい。結果オーライ!でも広場のコマ図はどうなったんだろう。気がつかないで走ったか、ミスコースで飛ばしたのにたまたま元のコースに戻れたのか。いまだに謎のままです。
 そしてそのままずーっと道なりに走っていったらCP100のフラッグ発見!SSのゴールです。無事走りきったわけです。行方不明にならなくて良かった、本当に。
 キャンプ地に到着して、今日の顛末をサポート隊に報告した。するとM利ちゃんが、以前自分も距離が合わないことがあったと言い出した。原因はICOのセンサーと磁石の距離が離れていたこと。微妙に離れていると舗装路では正常にカウントするものの、ダートではタイヤが振られてカウントしたりしなかったりするらしい。ボクのバイクを見てみると…しっかり離れていました。これで良くセンサー拾ってたな、というくらい。そう言えば、センサー付けてからバイク屋さんでタイヤ交換して、その後チェックしてませんでした(T T)。ダートの距離が合わないでミスコースしたり迷ったり今まで散々な思いをしたのは、ずーっとコマ図(=山田さん)のせいだと思っていました。「他人のせいにしたらいかん」山田さんのおっしゃる通りでしたm(_ _)m

 それにしても、こんな状態で夜のSS25キロもよく無事に走り切ったよ。ある意味自分に感動しました。


  DAY−6(54) 日平−大洲 221.22km

 TBI最終日は雨の朝になりました。今日は夕方から閉会式なので距離も短め。SSSS11一本の予定でしたが昨日中止になったSS9の替わりにSS12が最後のSSとして用意されました。
ここまで成績は、生き残った45台中42位。もうどうこうできるものではないけれど、ICOの問題も解決、最後くらいは気持ち良く走りたいものです。

  

 しかし、ボクはもうだまされません。今まで散々これが最後のトラブルと思っては裏切られ続けてきました。2度あることは3度、3度あることは4度、4度あることは5度ある!きっと今日も何かある!と心に言い聞かせてスタートしました。走り出してすぐに朝のSS11、昨晩のSSの最後の10キロの逆走。滑りやすい林道は苦手とあってやっぱりタイムもイマイチ。結局今回は最後までこんな感じだなぁ。
 SSの後、CP1が設定されていたが、距離が短い割に妙に時間に余裕がある。CPの場所は何キロから何キロと幅を持ってしか教えられておらず早着はペナルティになるので、CP1の手前の街で1時間位時間をつぶした。それでもまだ時間が余りみんな少しずつ先へ進んで行く。そしてその先の漁村の海岸、CPと思われる手前約10キロ地点では大勢のエントラントが待機していた。
CP開設時間が近づくとひとりふたりと出発し始めた。ボクはみんなと一緒に行くかどうか迷ったけど、以前別のラリーで金魚のフン走行が災いして完全に道に迷ってしまったことがある。ここは確実に自分ひとりでのナビゲーションで行くことにし、他のみんなより一足先にスタートした。
 丁寧にコマ図を読み、信号のある交差点を右に曲がった。その先約10キロ走ると小さい標識のある左に登る細い道があるはず。CPはその上にあるビューポイントに設定されているようだ。時々他のエントラントも見かけるので道は正しいはず。左手に海を見ながら走っているので海に面した小さな小山があるに違いない。と走っていたのだが再スタートから10キロ越えても一向にそんな道も小山も現れない!!おかしいと何度も右往左往しているとその横をエントラントが何台も追い抜いていく。つまり道はあってる?どうなっているのか解らなくなってエントラントの一人を止めた。「CPあった?」「うん、通ってきたよ」「えっ???」ますます解らなくなった…。

  

 仕方ないのでみんなで待っていた10キロ手前の漁村まで戻ることにした。コマ図を逆にたどっていくと、途中の左手の小山からエントラントがどんどん降りてくる。???。そしてボクが走っていた道に合流していた。つまり、ボクはどこかでミスコースしてCPを飛ばしていたのだけどオンコースに合流してしまうので気づかなかったようだ。そして漁村まで戻って気がついた。スタート時に念のため先のコマ図を確認した時、一コマ戻し忘れていました(T T)。もう一つ手前のコマ図で、信号のある交差点は左に曲がらなければならなかった。似たコマが二つ続いていて気付かなかった訳です(T T)。
 今度はコマ図通り進んで行くと細い道を上がっていって宇和島のきれいな海が見下ろせる広場に出た。やはりそこがCPでした。「あ、来た来た」「最後ですか?」「最後」今日も最後尾になったらしい(T T)。「社長(=山田さん)が無線で、何でゼッケン25番があんなところでウロウロしてんだって言ってたよ」やっぱり最終日も何かがありました。やれやれ。

その後宇和島市街をぬけて北上し、最後のSS12に向かった。何か吹っ切れた気分で走ったら、今回やっと初めてちゃんと走れた気がした。このSSは成績も17番とまあまあでした。
 最後のSSを抜けたらゴールまでもうあと20キロ程。マキシマムタイムまでまだ余裕があり皆休憩したり、洗車したりまったりモードに。しかしTBI(=山田さん)をなめたらいかんぜよ。ゴール直前に最後の罠が。スピードの上がらないダート6キロが残っていて僕も含めて皆リミットぎりぎりのアップアップでゴールになだれ込んだのでした。
 最後までいろいろあった今回のTBI。ゴールを出迎えてくれたサポート隊のY口さん、M利ちゃんともがっちり握手、無事完走を喜びあいました。成績は結局完走45台中42位。でも今回はサポート隊のおかげで本当に楽しいTBIなったよ!!ありがとう!
ゴール後バイクをパルクフェルメに置きに行くとビデオクルーがビデオを構えてやってきた。「今回のTBIはどうでしたか?」ボクは正直に答えました。

 「いろいろトラブルがあって大変でしたが、その分心に残る大会になりました。ありがとうございました。」