05’サンドワークスラリーレイド参戦記

サンドワークスラリー2005レポート
レポートは、普段はR100GSに乗る松田さんです。


 昨年は「空飛ぶKTM」ですっかり有名になったサンドワーク
スラリーですが、今年も例年通り体育の日の3連休で開催さ
れました。このところ毎年ビッグオフロードクラブでチームを
編成して参戦していますが、今回も僕/XR250Rを含めて3
名でエントリー。今年はいったいどんなドラマが生まれるの
でしょうか?
 さて今年は大会日程が連休の2日目〜3日目のため、初
日の土曜日はまるまる移動に使えます。キャンプ地は昨年
と同じ聖山キャンプ場。ここはなかなか設備の整ったキャン
プ場で居心地が良いので、今年は明るいうちに現地入りして
ゆっくり前夜祭?も楽しむことにしました。
 早めに支度して出発。高速でのんびり向かっていると夜の宴会部長熊ナミこと波方さんから連絡あり。氏と途中合流して仙台から参戦予定だった佐藤ともあきくんが出場を断念したとのこと。なんてこった!その直後「空飛ぶKTM」ハカイオー齋藤くんから「仕事で急遽呼び出された!」とSOSのTEL。仕事をハカイ(片付け)次第向かうとのことだがスタート時刻には大幅に遅れそうだ。。。。
 うーん…、考えてもしょうがないから温泉入ろう。戸倉温泉のコンビニで買出しをした時くじ引きをした。するとなんとこれからまさに行こうとしていた温泉の無料入浴券が当たってしまった。チョーラッキー!いやまて、これから勝負事なのにもう運を使い果たしてしまったか?ちなみに僕の強運のお値段(入浴料)は300円也。地元に溶け込んだとても良い温泉でした。
 しとしと雨も降り出した中なんとか暗くなる前に現地に到着すると、熊ナミさんがバッチリ宴会会場をセッティングして待ってくれていた。一足お先に二人で一杯やっているとぽつりぽつりと四輪のエントラント達が到着してきた。ちゃんと我々のことを覚えてくれていて、一年ぶりの再会を喜び合い一緒に前夜祭で盛り上がった。これもサンドワークスならではの楽しみです。
 翌朝目を覚ますと濃い霧がたちこめているものの雨は上がっていた。キャンプ場には夜の間に到着した車やトランポが並んでいた。特にオート(四輪)はジムニーが大挙8台参加し総勢10台。パリダカ写真家の松田瑛二さんやJRMの近藤聡子嬢などこの世界ではひと癖ふた癖ある連中が集まっている。モト(二輪)は僕を含めて5台。毎年顔を合わせる常連3台と初参加のアベック2台という内訳。ハカイオーは間に合わず、結局クラブからは久々の一人参加となった(寂)。
 主催するNASC中島氏の簡単なブリーフィングの後まずは第1ステージ、ヒルクライム会場へ。昨年金薔薇氏やハカイオーが玉砕された聖山パノラマスキー場だ。前回オートも含めてあまりに悲惨な結果に終わったため、今回はもっと斜度が緩やかなゲレンデ横の迂回通路(のような所)を使うことになった。が、昨日までの雨でただでさえ滑りやすい路面は更につるつるに熟成されている上、霧が深くて前方視界不良好。

 

 いよいよスタート。霧にかすんだ目印のポールめがけて走っていくと、突然赤土の広いヒルクライム路面が現れた。そういえばこんな路面だった(笑)。失速しないよう慎重にアクセルを開ける。時折り霧の中から突然ギャップが現れてヒヤッとするものの「スピード注意」と言い聞かせながら無難に登頂成功。後で聞くと、僕とモンゴル(BTOU)帰りのK村くん(ここのところスコルパ125というトラ車で愛知から毎年参加ののび太くん)以外のモトは押しが入ったらしい。しかしオートは全車登坂成功するなど差はほとんど無く、ここヒルクライムステージはちょっとしたウォームアップといった様相。勝負は次のナビゲーションステージだ!
 リエゾンで長野市内の千曲川河川敷へ移動。第2ステージ会場へ向かった。昨年は台風の影響でやむなく中止となったもののサンドワークスといえばこのナビゲーションステージ。河原のピストを使ったCAP走行(コンパスによる方位走行)やコマ図を読むテクニックだけではなく、時には判断力まで試される走り応えのあるステージで、それだけに走破できたときの喜びもひとしお。僕はこれに挑戦するために毎年通っているのです。
 オフィシャルに誘導されてスタートラインに到着すると、あれまあ前方にあるのは幅30mはあろう川。確かに本流ではないのだが、本流そっくりに増水しごうごう流れる支流が立ちはだかっていた。スタートしてすぐにこの川を渡らなければならない。

 

 ゼッケン順にまずはS木くん(愛知から毎年参加の2番くん、今回は勝負のXR600R)がチャレンジ。が、すぐにバイクが横を向きバランスを崩してしまった。なんとか持ちこたえたものの川底はかなりスリッピーな石がごろごろで、それ以上はどうにもならず押して渡るしかないようだ。しかも深さは膝下まであり流れも速くて押すのもかなり大変そう。どうにか渡り切り、続いて今回初参加のDR250氏(神奈川より参加)が行った。ロシアンラリーに出場経験がある彼は、ここぞとばかり果敢に突っ込んだ。しかしあえなく玉砕、しかも禁断の水没。DRが悲しく水面に浮かんだ。ぷかぷかぷか…。すぐに救出し、幸いエンジンもかかって大事には至らなかったものの、ここにハカイオーがいたら今年はきっと「川を泳ぐKTM」が見れたに違いない、と思ったのは僕だけではないだろう。
 この後DR250氏は連れのセロー嬢のサポートをして、一緒に対岸のルートに消えて行った。続いて反則?トラ車のK村くんが、足付きにものをいわせてそのまま強引に渡り切り、向こう岸に消えて行ってしまった。
 最後に僕がスタート。振られないよう車体を真っ直ぐにして川に入った。しかし5mも進むとあえなくスリップ、横向き。結局膝下まで水に浸かって押す羽目に。流れにも押され、滑って後輪があらぬ方向むくし、XR重いし…しくしく。なんとか渡り切ったがかなり体力を消耗、しかも時間もかかってしまった。少々あせりも感じながら、急いで前走車のわだちを追った。
 CAP走行でブッシュの中を進むと1CP発見。ここまではなかなか順調。その後バリーズ(オフィシャルが設置した目印)に従い再びブッシュを突っ切って広い河原に出た。オフィシャルが先回りしてカメラを構えている、これは何かあるな。右手の広い川沿いの土手に先行車のわだちが何本か続いていて、CAPに少々不安を感じながらもそれを追った。その後川を渡るコマ図なのだが、進めど進めど一向にコマ図にあるような川は現れず、わだちはそのまま延びている。しまったミスコースか!?
 しかし、ここはぐっとこらえて落ち着いて分かるところまで戻ろう。確実に挽回するため最初の川を渡ったところまで戻りもう一度ナビゲーションし直す。1CP越えて、ブッシュを突っ切って、広い河原に出て、広い川沿いの土手にわだちが続いていて行き過ぎて…。あーーーっ!一緒じゃん!!どっか間違ってる!!!こうなるとパニック。河原を右往左往。カメラを構えたオフィシャルも面白がって笑ってる。ちくしょーー…涙。
 ところが良く見るとその広い川のまた対岸で右往左往しているエントラント発見!ガ〜ン!つまり問題のコマ図にある渡るべき川はこの目の前の広い川だったのだ。でもどこで渡るの????そのままわだちを追っていくと、程なくわだちは無くなった。きっとこの辺りで渡ったに違いない。えいっ!思い切って土手を飛び降りて川の中へ入っていった。ずぶずぶずぶ…。いや〜な感触とともに後輪が沈んでいった。…ここじゃなかった、終わった。
 どうしてこうなってしまったんだろう。。。。川の中で一人でXRを引きずり出しながらよく考えてみた。そもそも他人のわだちに頼ってしまったことに原因がある。どこか心の底で今回もうまくやろうと思っていたのか、またこんな広い川がルートのはずはないという思い込みがあったのかも。あのコマ図通りの距離で立ち止まって落ち着いて廻りを見れば、目の前の広い川をそこで渡るべき(というかそこでしか渡れない)ことに気がついたに違いない。いずれにせよ他人に惑わされず自分を信じてナビゲーションするという基本が最も大切で、そしてそれを貫くことがいかに難しいかということを改めて思い知った。今回も大変勉強になりました。
 なんとか自力で川底から引きずり出し、高さ1m以上ある砂地の土手に一人でXRを押し上げた(よくがんばりました)。戻って正規の川渡りルートを渡り(やはりここは締まって走りやすかった)その後はガンガン追い上げた。そして最初の川渡りを今度は逆に押して渡り(涙)、やっとやっとゴール!たった3キロ弱だったが長いSSだった。。。。ぜいぜい。
 このステージの結果はかろうじて初出場2人組みを上回ったものの、常連3人組の中では最下位。はっきり言って完敗に終わったのでした。

 

 このまま河原で失意(笑)のランチタイムの後、午後からはお楽しみのツーリングステージ(第3ステージ)です。僕はこのステージも大好きで、特に勝負のSSが終わった後の開放感の中走るからより楽しい。今回は全行程150キロ。雲は取れないもののまずまずの天気の中スタートした。(熊ナミさんとはここでお別れ)
 このステージでのルールは毎年微妙に変わるのだが、今年は去年と同じルール。全体を5つの区間に分け、それぞれの区間の指定時間でいかに正確に走るかを競うというもの。昨年はタイトな時間設定や、初めから無理な設定の区間もあったりとなかなか侮れなかった。しかし今年は全般にゆとりのある設定となっていて、ミスコースさえしなければ時間通りにCPに到達できた。たっぷりと長野市周辺の林道群を堪能し、日没ぎりぎりで最後のガレガレ林道をぬけてようやくキャンプ地に戻った。そして二輪、四輪の参加者を交えてお楽しみの宴会、表彰式などが華やかに行われ夜は更けていくのでありました。
 翌、最終日は順位に関係ないトレーニングステージ。昨日最後に走った林道を逆走して昨年の「空飛ぶKTM」事件現場に到着。今年もちゅるちゅるの登りを1台ずつアタックした。昨年のあの事件での「勢いだけでむやみに突っ込むと“空”をみる」という教訓を生かし、初参加組みを含めてモトは全員一発クリアした。その後ゴール地点の頂上で次々上がってくる四輪エントラントと合流し、JRM近藤嬢たちとパリダカやモンゴルの話で盛り上がった。そして山を降り再びキャンプ地に戻ってゴーール!全日程終了です。お疲れ様―――!
 さて今回の成績はというと、第1ステージのヒルクライムと第3ステージのラリーステージの成績が効いて結果モト部門連覇ということになりました。しかし、肝心の第2ステージは完敗だし、第3ステージだって僕が一番時間に几帳面だっただけで(そんなんかい)、なんだかなーーー。とはいえ1位は1位。今年はちょっと恥ずかしいけど有り難く頂戴し、来年こそは満足する走りで真の“チャンピオン?”になりたいと思いました。
 お昼前にはエントラントも三々五々解散していき、僕もオフィシャル達の暖かい見送りを受けながら会場を後にしました。「また来年お会いしましょう!」
そしてサンドワークスの帰りの道中は蕎麦と温泉に決まっています。今年は一人なので新しい蕎麦屋と温泉を開拓しました。今度の温泉も“当たり”だったようで、ぷんと硫黄が効いた湯船に一人で浸かりながら、僕の運もまだまだ尽きてなかったな、と思うのでした。
 来年もチームエントリーしますよっ!挑戦者求む!!!
PS:ともあきくん、ハカイオー、来年こそ! 熊ナミさん、毎度のサポート本当にありがとうございました。