サンドワークスラリー 2004’


 ども、皆さんこんにちは。
 10月10日〜11日と二日間にわたって開催された『2004年サンド
ワークスラー』の参戦記の大役を仰せつかりました、齊藤です。

本文で述べますが、今回のラリーは出場を競技日の3日前に決め、準
備を何とか済ませて(不備も多少有りですが)出場にこぎつけました。
結果はというと、入賞には至らずでしたが、充実感満点の週末となり
ました。私のような競技初心者には、ぜひお勧めですよ!
 参加者:松田@XR250、武石@バラデロ、齊藤@アドベンチャー
他、サポート隊兼宴会部隊数名(^ ^)

 
<プロローグ>〜時は突然に〜
 サンドワークスラリーの話題は、約1ヶ月前からクラブBBSで話題
になっていて、興味があったが、どうにもGS(当時はまだ15GSに乗
っていた)での参戦には抵抗があったので、来年以降の増車成功(要奥様説得)の暁には出ようかと、今年は連休だしキャンプモードで見学にでも行こうかなと思っていました。そんな折、サンドワークスとは直接関係無いのですが、GSからKTMに衝動で乗り換えてしまったのです(奥様激怒)。乗り換えの報告とサンドワークス観戦のための道のりの問い合わせをと、松田氏にメール連絡をしたのが、10月7日。返事は、

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現地への道のりをFAXしておきました。
エントリー少ないから当日参加でもOKだと思うよ。
来年なんていわないで早速KTMでどう?
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 と、見事に予想通りの誘惑が・・・。詳しい話を?と思い再度連絡すれば、間違いなく参戦の方向に向かっていくことは百も承知ながらも、すでに気になってしょうがない。(さすがに納車2週間では出たくはないのだけど・・・) 結局、誘惑に負けてしまい、翌朝には準備を始めてる自分がいて・・・。コマ図ホルダー製作のためのタッパやら材料を買いに走って、タイヤを替えに行って、ヘルメットもこの際換えて・・・(などなど、西へ東へ) 10月9日には、松田氏から「正式に受理されたよぉ」という、電話の向こうのにやけた顔を想像させるような、陽気なテンションでの連絡が入り、「大雨降ってるし」とか、「お腹痛い」とか、逃げ道が無くなってしまい、午後3時には大風近づく大雨の中、横浜の家を出発。(午後8時に到着予定)

 
<家を出たときからラリーは始まって・・・>
 皆さんご存知のように、10月9日の天候は午前中から秋雨前線の影響で大雨、そして夕方には台風22号の関東圏直撃という状況で、そんな中、家を出た私に襲い掛かるのは、16号線の水溜り・・・2車線のうち2車線(全没?!)が約30メートルにわたって池?川?ってなぐらいな水溜りが出来てます。家を出てから、20キロも走ったらこんな状況だなんて・・・。と思いつつも、ジャバジャバやりながら、にやけて通過。ラリーは既に始まってます。
 その後はトラブル知らずで、大雨(あくまでも『お・お・あ・め』ですよ)の中、自走のバイクと私は中央道を西へ西へ・・・。諏訪につく頃には雨も小降りになってきたので、中央道唯一のハイウェイ温泉に寄り、先発隊の宴会組と後発の松田氏に連絡をとって、さあ出発!したのはいいのですが、行けども行けども『麻績IC』の看板が出てこない。掲げられている看板は、伊那(ん?)、駒ヶ根(ん??)、(ん???)。そうです、中央道から長野道に入るジャンクションで痛恨のミスコース!!!延々と中央道を1時間強走ったので、往復約3時間のタイムロス。途中ガス欠になったり(ラリーは既に始まっていたのです)。
 麻績についたのは夜の11時過ぎで、あたりは真っ暗。一人でうろついた挙句(つまりはナイトランですね。ラリーは既に始まっているのです。) 心細くなり、明るいところで寝ようかと諦めかけたのが1時くらいかなぁ?諦めかけたら救いの神、武石氏が通りすがり、拾ってもらって何とかキャンプ地到着。(氏は夜のワインディングなのに早いこと!)もう、お腹いっぱいです!!!!残っていた焼酎をグイッとやって、午前2時就寝。

 
<10月10日午前〜ヒルクライム>
 プログラムは台風や大雨の影響などで変更になり、河原のコースが水没しSS1キャンセル、二日目に予定されていたヒルクライムが初日に変更。
 朝食をとって少ししてから、コンボイでヒルクライム会場(スキー場)へ移動後、主催者の準備を待って、ゼッケン順に3トライ行うことに、トップバッターはアフリカツインが勤め、途中で止まってしまい、1トライ目は失敗。2番手は優勝候補の松田さんが無難にXR250を頂上へ導き、さあ自分の番です。初のスターティンググリッドはさすがに緊張気味ですが、一番の難所のグチャグチャのアプローチエリアに突入するも、勢いが足りずに、少し登ったと思ったら、気持ちが途絶えてしまい失敗。次は反則気味のトライアルマシンがトライ。予想通り、テクテクと登りきり、次は武石さんがまさかのバラデロでトライするも、グチョグチョなアプローチで、失速&スタック。結局下馬評どおり、重いのには厳し目のヒルクライムの構図が浮き彫りに・・・。
 中でも軽め(アフリカ・バラデロに比べれば)の車両の自分は、何とか上らねばというプレッシャーを受けるも、2トライ目はあえなく失敗。運命の3トライ目!助走も充分、アプローチのグチョグチョを蹴散らして、グリップの良い草原エリアを、坂の途中で待ち構えているスタッフめがけて(途中で転がるビッグバイクを起こすためのヘルプがスタンバイ済み)登り出します。スタッフからは、
 「うわぁ〜、来た来た来たーーー!!!」
 「ヒエェェェェェーーーー!!!」
などと悲鳴が上がってます。なんでかって?バイクは、ライダーが見た方向に行くので、私が動くスタッフを見ると、スタッフめがけて突っ込んでいくのです(KTMの高回転は図太い轟音で迫力あるから余計に恐ろしいのか?)。逃げ惑うスタッフの姿は結構面白い(スタッフ他ヘルプの皆さんごめんなさい)
 こんなことをやりながら、序盤の難所をクリアし、フロントが浮き気味のリヤ過重で「俺ってかっこいいかも(エヘッ!)」と精神的にもマシンの勢いにも余力のある状態で、坂中腹の走りやすいエリアに入った時には、思いました。『これは、行けるぜ!!!』と。
 しかし、自分のマシンをまだよくわかってない私は、ギヤレバーの調整をしていなかったため、何かの勢いで足がレバーにぶつかり、2速からニュートラルに入れてしまい、エンジン回転と共に図太く吼えるKTMとは裏腹に、マシンは失速。急いでギヤを入れても後の祭りとはこのことで、マシンの体勢は斜面の上を向いているというよりは、下に向かってまっしぐら。あえなく坂を転げ落ちるように、スタート地点に戻りました。結局3トライ全敗に終わり、ノーポイント。
 教訓:マシンポジションは自分に合わせておきましょう

 

 
<10月10日午後〜ラリーのメインイベント〜>
 午後は、コマ図を使ったラリーです。今回の一番の目的がこれで、目標はコマ図走行とはなんぞや?っていうのを体験することと、設定タイムと走行タイムから自分の実力を計ることに重点を置いてます。麻績村をスタートして、舗装路を繋いでCP2まではオンタイムでこなし、本日のメインとなる菅平地区の林道を“コレデモカ!?”というくらい走り、いつのまにかキャンプ地付近まで誘導されます。CP2からCP3の間ではブラインドコーナーから出てきた対向車にビックリして一度コケたのが大きなタイムロスに繋がりましたが、他は前走者がいないことと苦手な下りのダートであったため、じりじりと時間は流れてCP3からCP5はまったく振るわず大幅にタイムオーバー。後で聞くと、チャンピオンの松田さんは給油も含めて大体オンタイムでの走行とのことで、実力の違いを思い知らされました。
 タイムオーバー気味での走行のため、秋の夜長の言葉のとおり気が付けばナイトラン!!!ハテ?昨日もしたような?などと思いながらも、CP5で何とか2台後ろからスタートした武石さんに追いつき、先にスタートするも迷っているうちにすぐに追いつかれ、そこから先は武石さんの明るいライトの恩恵を受けながら、キャンプ地到着=ゴールとなりました。夜の林道は、怖いですよ・・・。
 夜は結果発表と表彰式、そしてどこからか持ち寄った各地のラリービデオの鑑賞会をしながら、軽くお酒を飲んでさっさと寝てしまいました。
 「教訓:コマ図は慣れですな!」
 ダートライドの基本を身に付けよう(身についてなくても楽しめますが)。その後、波方さんのサポートカーの荷台では、私齊藤、武石、波方の三つ巴の夜のラリーが開かれていたのは、言わずもかなといったところでしょうか。波方さん証言「齊藤さんも640ccのバイクに乗ってるだけあるねぇ」
そういう波方さんも、早朝はかなり・・・・・。

 
<10月11日〜その時が来た!運命の『立ち木アタック!!!』〜>
 朝が明けて、支給の朝食をチャンピオンに習ってオカワリし(まずは形からネ)、準備万端で出発。オフィシャル曰く、「今日は、昨日ナイトランをした林道を、20秒間隔で“さわやか”に走った後、林道を使ったヒルクライム」だそうです。ゼッケン順に走り出しますが、苦手な下りと滑りやすい草の生えた林道のため、すぐに追いつかれ、「あー、駄目だな俺。ていうか、さわやかじゃないし・・・」とため息交じりでテクテク走っていると、なんか見慣れた水溜りが・・・そうなのです、そこは昨日ナイトランを強いられた林道なのです。この水溜りでバラデロが水浴びしてたっけなぁ(ナイショでしたか?武石さん)。なんて、記憶がよみがえると共に、よくもこんな滑りやすい道をナイトランしてたなぁ・・・。と身震いが・・・。あ〜ぁ、見なきゃ良かった。
 でもって、そつなくテクテク走って、最後のイベント。大問題のヒルクライムです。トップバッターはまたしてもアフリカ。途中で止まりはしましたが、“押し”を有効利用で登頂成功!!!(驚)。2番はチャンピオン松田、以外にも途中でコース外を向き停止。どうやらトップバッターのアフリカが仕掛けた(掘った?)トラップに引っかかったようで、エンストこいてカブッタのかエンジン掛からず、1トライ目失敗。
 さぁ、自分の番です!!!5秒前からカウントが始まり、軽くブリッピングを行い、『GO!!!!!』の合図と共に、ハーフウェットの舗装路が約50m助走区間にあり、少しだけリヤが滑っているのが分かりますがグングン加速します。生まれてはじめてのロケットスタートだと今でも信じてます。
助走区間が終わる頃には、かなりのスピードで、林道クライムに突入!まさに、突っ込む!!林道に入った瞬間になんだかリヤが暴れてますが、ロケットスタートに気を良くした私にとっては、そんなことは関係ないのです。まさに、無敵モード!!!「よーし、どんどん行くぞー!!!」っと前を見たら(いや、初めから前を見ているのですけどね)、
 「あれっ?」
 「メ・ノ・マ・エ・ニ・キ・ガ(目の前に木が)」
 「Noォォォーーー!!!」
 「正面衝突するやんケー!!!ほぼ全損だな・・・」
 「オォ神よ、納車2週間のバイクにこの仕打ちですか?!」
というぐらい考えている余裕はあったかな?でもって、衝突直前から記憶が無くなり、次に気づいた時には、
 「あれ?何で目の前に空が?」
そうなんです!!!気づいてしまいました、宙を舞っていることに・・・。
 「先日の台風で葉っぱはほとんど無くなり、小枝の間から見える澄みきった青空は綺麗なもんだなぁ」
 「ちょっとまてよ?この行き着く先にはウドの大木があったりしないよな?ぶつかったら大怪我ジャン?」
でも空は見えるけど自分の行く先は見えないのネン。
 「たのむ!ぶつからないで!!(念)」
と念じるしかなく、運良く笹薮へ軟着陸に成功!!!
 「オォ神よ!見捨ててなかったのですね」
 この間、記憶が戻って約1秒程度の出来事。意外に長く感じるもので、時を止めたような気分(イヒ!『ジャンキー』系!?)着陸後、体の異常が無いのを確認し、はて?バイクは?と思い周りを見ても見当たらないので、コースに戻ると、オフシャルやら競技参加者のお医者さんやらがぞろぞろとこっちに凄い勢いで駆け寄ってきます。
 オフィシャル: 「自分で立ってる。へ?なんともないの?」
   自分  : 「えぇ、まぁ」 「それより、バイクどこ行ったか知りません?」
程度の会話をして、バイクを見つけてみると、笹薮の中で横たわってはいるものの、舗装路に持ってきて(皆に移動してもらいました)いろいろ調べて見ると、“走りそう”な感触。恐る恐るエンジンかけると、しっかり掛かり、その場で直せるところを直して、ヒルクライムの終わりを待ってキャンプ地へ。
 こういう時って、オフィシャルを含め見学の参加者たちの不安をよそに、当の本人はなんともなくアッケラカンとしているもんですね。(自分のことなんですが・・・)で、キャンプ地に戻ってマシンをチェックした結果。主だった破損個所は、フロントホイールリム打ち、左ラジエター曲がり程度で、タンクはポリだから後ろにずれてはいるものの形は保っているし、自走可能。(ラジエターはビッグタンクに守られているのに歪んでいた。(恐!!!))

 

 その後、皆さんから「KTMって丈夫だねぇ」とか「よく考えられている造りだねぇ」等など、のお褒めの言葉をいただきましたが、“立ち木アタック”は想定外だと思うぞ!!!ということで、マシンを傷物にしてはしまいましたが、自走で全てをこなし、帰り際にマシンの入院手続きをして、体のほうにもアザ以外の負傷も無く、なんとか無事にラリーな週末を終えました。
  今日の一言
 @カメラマン談「昨日のラリーのビデオに出てくるクラッシュシーンみたいでしたよ」(笑)
 Aとても納車2週間の車両とは思えない状態にして、修理に持ち込んだにも関わらず、にこにこ楽しそうにラリーの話をしている私を見て、ディーラースタッフ談 「齊藤さんは今までのお客さんとは違う、“新しいタイプ”のお客さんですよ」。

 
<まとめ>
 チャンピオン松田さんの誘惑に負け、急遽出場したラリーでしたが、いずれはTBIクラスのラリー(?)に出てみたいと思う私にとっては、最初のステップとしては良い経験になりました。サンドワークスラリーは、本場の国際ラリー経験者の主催者がアレンジするラリーではありますが、初心者が出ても問題ないくらい充分に垣根の低いものであると感じます。その他のさまざまなラリー参戦を目標としていなくても、ちょっとだけハードなイベントと思えば、常識のある方なら充分に楽しめるので臆せずに参戦することをお勧めします。
 今回は増水でキャンセルとなりましたがSSで本気になるもよし、滅多にしないナイトランを楽しむのもよし、夜の部を楽しむのもよしだと思います。続けて出ていると、『同窓会』みたいに年に一度だけ合う知った顔と楽しいひと時を過ごせそうです。もちろん、私は来年も出る予定です。
 なんていったって、チャンピオンが表彰式で言った。「もっと若い人たちに頑張って欲しい」(挑戦者求む!)の一言が“若い”私にとっては印象的でした。それでは、2005年にお会いしましょう。あ、来年は、
「空飛ぶKTMってこれですか?」
とお声をおかけください。