The   LAST   T・B・I
         最後の最後のブルーアイランド


 
ゼッケン6 宮田一孝

 あぁ、終わってしまう、、、、 「13th Last TBI」が。5・6・7・10・11・12回と出場し、数えれば半分以上の出走回数。数々の思い出と友人を与えてもらったTBI。

1月、本エントリー用紙が到着。速達にて送り、今年こそ「ひとけたゼッケン」を狙う。

2月、ビッグオフ軍団とJRMの菅原社長と櫻井君と伊豆へツーリング。時々雪がまじる雨のなか、長時間、寒さという実質的な訓練となった。社長は先月末にダカールから帰ってきたばかりなのに電動マップケース、ICOなどもうマシンは形になりつつあった。さすがに対応が早い。
3月、山梨某所にて「ちゅる系、がれ系」の訓練を2回行う。2回目は前日雪という絶好?の「ちゅる」ゼッケン66石井氏とゼッケン30今井氏も合流。マシンは、シート張替え、アルミ溶接と自分の手で出来ない部分を3月中に終わらす。
4月、部品は4月頭にそろえ自宅での作業のみで第2週にはマシンは完成した。今年の準備は早めに終了。

 

4/26
 本日東京港よりフェリーで徳島へ向かう。夕方出港なので、その前にJRMによって手直しを少々。「ごっつまもる君」を近藤さん直々に張っていただく。

4/27
 徳島到着、いつものうどん屋さんへ。数えて8回目。おばちゃんにお別れを告げる。自走組3台と高速で移動。夕方には久万の会場入り。しかしここで電装品トラブル発生! 移動中はなんともなかったのに電気が出ない!テスターを借りて導通や電圧のチェックを繰り返すが原因つかめず。基本的に電圧が低く12V電装を動かせない状態。日が落ちたころ一旦作業を打ち切り車検以外の受け付けを済ます。車検を終了しないとコマ図はもらえないらしい。本部前の明るい場所で作業再開、ジェネレーターまで外してみたが配線の異常は見つからず。しかもパッキンも破けてしまう。ずれないように組み付ける。24:00本部の消灯までやったが復旧せず。

4/28 155.15km ダート16.69km SS2.00km
 朝6:00より作業再開。原因は解らないが時々電気が出るようになった。コマ図を貼る時間の関係で10:30原因不明のまま車検を通す。ゼッケン6が貼られた。そして車両保管になった。食事の配給があるがコマ図優先で貼り続けた。最終日を貼っている途中でブリーフィングが始まった。今回の変更点としては100位以内とそれ以後ではパスチェックの設定を一時間ずらすらしい。チェックカードの文字の色を変えるそうだ。のちに赤組(100位以内)と青組とエントラントは呼び分けていた。そして不安をかかえたままラリーは始まった。
 ICOの外部照明を常時点灯にして電気が出てるかのモニターとした。今日のSSはサーキット一本のみ。ドライコンディションで昼間のため進むのは問題なし。2年連続ではまった坂は今回は逆周りのため、すんなりクリア。しかしコースロープの張りかたが工夫をこらしてあって、サーキットは苦手な私はスピードが乗せられずゴール。
 出口のスペースが狭いため道まで降りる。うっ、電気が出てない・・・。レギュレーター部分で電圧が足りない。パスチェックまでは明るいうちに到着できそう、そこで考えようと、ばらした部分を組みなおすと何故か電気が出ている。パスチェックは日本石油のスタンドで無料給油。計算通り20L以上。移動を続けると偶然「マルカワレーシング」の前を通った。私の組んでいる強化ジェネレーターの販売元。話をすると「今、急ぎの作業のため見てあげる事ができない、話だけなら」と現象を話し、それに対しての疑う個所を教えてもらう。ジェネレーターは話の範囲で判断すると問題ではないと思う、と言われた。
 キャンプ地直前でコマ図が合わない、みんなでうろうろ。地元のスタンドで教えてもらいキャンプ地へ。原因はコマ図を書いたあとに新しい道が出来たそうだ。そんな事もあるでしょうね。本日一回目のオイル交換。

4/29  85位スタート  407.16km 49.20km 14.19km
 雨だ・・・。いやいや始まりましたな、本番が。朝のSS、短い林道。タイム差はあまり出ないだろうな。移動中、電気が死んだ。ちょっとした屋根の下で昨日の話を参考にレギュレーター交換をすると電気が復活した。しかし車検前にも交換してみたが現象変わらず戻した覚えが・・。高知市内でイエローハット発見、メーター球を買って交換作業したいので、とピットの横を借りて配線を加工しなおす。夜のSSは長い林道、結果的に「そんなに減速しなくても大丈夫だった」が多く、楽しかったがタイムはいまいちだった。

4/30  85位スタート  358.74km 80.68km 12.29km
 朝8kmほどのハイスピード林道。けっこううまく走れる、が転倒車に目を取られ、あわやコースアウト寸前。一回停止してしまった。もったいない、しかし自分の失敗。朝のブリーフィングでパスチェック付近で崖くずれ、コース変更の可能性があるので現場で指示もらう事となっていた。パスチェックに到着、そこのスタッフに「午前中、去年の(私の)事故現場通ったんだよ、見た?」と言われたが意識してなかったので「そうですか・・・気がつきませんでした」と答えた。でも複雑な気分だった。
 移動中時間的に余裕があったので屋根の大きい商店で缶コーヒーで休憩。早めに夜のSSの入り口に到着、4番目だった。SSスタート、霧が濃い、視界はときどき5mを切った。ガードレールをあてに走ると、いきなり逆コーナーになったり気を抜けなかった。4.2kmのSS内で2台パスしてゴールした。
 キャンプ地へ向かうが、一台逆方向でテールが光っていた。トップゴールだった。しかも今夜は宿、たたみの部屋だった。宿の方には迷惑な一団だったでしょうね、ずぶぬれで泥で。幸いな事に電装は安定した。

5/1  76位スタート  345.27km 91.61km 6.2km
 雨があがっていたが曇り、しかもどんより。朝のSSは夕べの逆走、相対的にみんなペースが上がる。しかし私は前後タイヤがいっぺんにすっぽぬけて転倒。しかもリズム崩していいことなし。昼間は剣山を中心に行ったり来たり、気温が低く標高の高い地点で霧、そして雨に変わった。
 夜は美馬サーキット、名物ステージ「夜美馬」である。暗くなってSSが開始された。自分の番、SSイン。いきなり森の下り。ちゅるちゅるで制御不能、そこだけで3度こけた。下りきった所に大きな水溜り、すぐタイトコーナー、上りと気が抜けない。タイムは考えず「開けちゃだめ、閉めちゃだめ、止まっちゃだめ」で進みつづけてゴール。終わってみれば例年のように「あっ、間に合わない」というコースロープワークがなかった。コンディションを考慮してもらったみたいだ。
 しかし次の日に発表されたリザルトを見ると5分台から3時間半までという結果だった。2度目のオイル交換をする。寝付くころ、また雨が降り始めた。

5/2  96位スタート  415.62km 87.20km 8.91km
 朝起きるとどしゃ降り、「朝美馬」はキャンセルされた。順位は落としても走りたかった。朝美馬を考え、雨の中泥だらけのタイヤ交換をした人達も複雑な思いだったに違いないでしょう。山を降りる途中で多少晴れそうな気配。しかし豪雨に変わった。沢のように水が流れる林道を上がったり下りたり。「これがTBIだよな〜」と気分は上々、ヘルメットのなかで歌いまくり。
 パスチェックは日本石油スタンド。給油後スタートするがリヤタイヤがパンク。Uターン。屋根のあるコンプレッサーのあるところで修理。ある意味とてもラッキー。第2パスチェックはカルスト台地のなか、気温低く(一桁)霧が濃くペースが上がらない。ラリー全体で(時間的に)前の方を走っている私でこの状態だから、遅い人はさらに厳しくなるはず。
 夜のSSは分岐の多い林道。距離を見ていないと間違えやすい。まともに走っていても道自体狭く逆バンクも多くむずかしかった。あとでみんなの話を聞くとミスコース続出だったそうだ。SSを終わりキャンプ地へ、雨があがってきた。崖の上の林道から下の町の夜景がきれいに見えた。
 キャンプ地は真新しい豪華なキャンプ場。入り江の奥の高い位置にあって見晴らし最高。テントをはって3度目のオイル交換。風の通りも良く、ひさびさにテントが乾いた。

5/3  88位スタート  368.47km 69.39km 11.49km
 みんなの話によると今日の降水確率は10%だそうだ。宇和島市内でYAMAHAのバイクショップを発見、ICOの照明用2W球を手に入れた。予備を使い切っていたのでラッキーだった。また標高が上がって行く。それにしたがい霧、そして雨。しょうがない、かっぱを着よう。移動区間の林道は気持ちよかった。次第に晴れてきた。
 有料道路わきのモトクロス場でSS。スタート位置からは全体は見渡せない。5台入れて時間を空けて、というスタート方法がさらに不安をあおる。そして自分の番、すぐ下りるコース、下りきったところで台数が止まっている。今の自分の位置からはコースが曲がっているため上の様子が見えない。勢いを殺さぬように発進。うっ、大きな「がれ坂」。ライン上に5台以上はまっている。再発進を考えて停止。ギャラリーのおじさんが「こっちこっち!」と左側を指している。自分の右ラインから「押し」をくれながら左ラインに乗せかえた。「ここまでくれば乗れるから!」 よぉし、押す!押す!押す! 再発進できた。
 オフィシャルの小鶴さんが「よくやった」と声をかけてくれた。SS入り口で時間調整されたため、パスチェックの時間は気にせず安全に行ってくださいとオフィシャルから指示がでた。チェックはスタンド、無料給油。ちゃんと20km前にリザーブに入って22L入れた。カルスト台地は昨日だったよね?と思うくらい今日は気温が高い。途中でICO照明が、そしてレギュレーターが次々と壊れた。2個持ってきたレギュレーターを使い切るとは・・(古かったけど)  
 夜のSSは前半は普通のちょっと狭い林道、ただ連日の雨でわだちが深かったり岩が出てたりと気が抜けない。2度ほど飛びそうになった。後半はとんでもないハイスピード、怖くてアクセルを戻してしまうくらい。でもこのSSが今回の最高位、去年の11位にはぜんぜん足りないけど・・・。

5/4  79位スタート  300.35km 39.49km 2.00km
 泣いても笑っても最終日。夕べは足摺岬付近に泊まっていたらしい。パスチェックの日石で天気を聞くと「ところにより雨」らしい、そしてしっかり降られた。 いくつか林道をこえ、川原のSSへ。もう順位よりも突破重視で進む。ここで終わり?と思ったら後ろ方向へ。林のなかのアタック系上りがあった。上がれる!と信じて上りはじめたらギャラリーに
 博っちゃん発見!突破成功、SSのゴールチェックには(元)藤田さん、なるほど。パスチェックでは14番目、どんどん進んでいく。途中国道から外れる位置のうどん屋さんで台数が止まっていたが私は進んでいく。あと30km、でも油断はできない。
 コマ図に「黄色い看板 左へ」 その看板には「赤蔵ヶ池」の文字が!過去、数々のドラマを生んだ名物SS、私個人も「びりから3位」だった経験もある。どきどきしながら進んでいくと入り口をかすめて通過、よかったぁ。短いダートを超えて「久万高原ふるさと旅行村」つまりゴール地へ到着。 しかし誰も関係者はいない・・・。エントラント車両保管所にはリタイヤした人だけ。聞くと誰も帰ってないとの話。入り口で待つことにする。
 何人か集まったくらいにコース上担当のオフィシャルカーが戻ってきた。本部隊が足摺からの移動に時間がかかって到着してないとのこと。本部隊が到着、でも準備が出来るまで待機となる。本部隊のみんなもかなり疲れている様子、これから設営は大変そう・・・。結局私が到着2時間半後になってトップでチェックを受けた。
 そして閉会式、さすが最終回だけあって野外だが豪華な設定。 各賞の発表、各部門、総合と発表が続く、私はランク外、100位以内はキープしてるといいな、と思っていたら総合77位(205台)クラス12位(20台)という結果だった。
 そして、ついにTBIに続くイベント、「ツール・ド・ジャパン」の発表があった。4月28日北海道宗谷岬スタート、5月4日鹿児島県佐田岬ゴールという、まさに日本縦断のイベント。会場は大騒ぎだった。

まとめ  TBIの歴史が終わった。
 初参加の第5回、2400km中2200km距離計無し。 思い出深い5月2日水をめぐる旅 493km パスチェック3 SS3  5:22 スタート 22:34ゴール 今より一日短く 5時台 6時台のスタートの繰り返し。今よりダートは当然長く120km超えの日も。雨に散々降られ(今回の比ではない!)最後には足の裏の皮が腐りはじめた。
 デビューからこてんぱんにやられたが、ゴールはとても感激したのを覚えている。それからモンゴルで2回出れなかったが連続参加、友達も思い出も増えていった。 ここでしか会えない友人に会うために、極上の毎日をすごすため、毎年エントリーを続けた。
 しかし去年、第12回は夜のSSでコースアウト、橋の下に落下、バイクの下敷きになった。記憶がとんで肋骨5箇所、ガソリンやけどで11日入院。一歩間違えば死亡もあった状態だった。でもみなさんが必死に救助していただいたおかげで復活できました。
 今回エントリーして出走(電気が危なかったけど)、ゴールの地に立てました。救助してくれたみなさん、心配してくれたみなさんへの恩返しは「無事ゴールすること!」 今までとは違った緊張感を持って走っていた。
 そして2年越しのゴールを超えた。自分なりの目標は達成した。SSERのみなさん、日石三菱のみなさん、協力してくれたすべてのみなさんへの感謝を忘れずに次回へつなげていこうと思います。