GSミーティングin Belgium2004レポート


0.はじまり

 ドイツに転勤し、はや3年になります。
2002年3月末のベルギーのGSミーティングに行って以来、毎年参加しているこのミーティングも今年で3回目になりますが、今年は帰国することが確定しており、今回が最後の参加になります。昨年は6月の開催でしたが、今年は一昨年と同じくイースターウィークの開催。4/9~12の4日間で、場所はAntwerpの東40kmほどのKasterleeという小さな町です。今年の準備はリヤタイヤ交換のみ。履いていたTKC80はまだ4分山でしたが、ケチらずに交換。どうせまたチュルを走るので。

 1.4/9(第1日)
 この日は金曜日でした。イースターウィークの初日でドイツは祝日です。昨年のミーティングは6月で、しかも欧州は記録的な猛暑。それに比すれば寒いのは当たり前ですが、天気もあいにくの曇り。装備はオンロードツーリング装備とし、オフ関係のウェアは持参することにしました。

 

 コースは例年通り、A67→A60→A61とつなぎKoblenzからBonnをかすめ、Koelnの西でA4につなぎ、Aachenの先で国境越え。その後A2,A13とつなぎGeelの郊外で下道に降りました。しかし寒かった。。。道中さすがに氷点下になることはありませんでしたが目的地までの距離は約500km、延々走るとかなり冷えます。1時間ごとに休憩し、休憩ごとに暖かいコーヒーをすすりながら走りました。現地についてもやっぱり曇り。結構寒いです。取り急ぎテントを張りました。

 
周りを見回すと例年どおりたくさんのGS。中には怪しげな機体もちらほら。

 
 これはご覧の通り、サイドカー。これでヌタヌタ道を走るんです。この隣のテントのおじさんは、サスの交換をしていました。車載工具だけで出来てしまうんですね。GSってエラい。

 

 取り急ぎオーガナイザーのテントで登録を済ませました。この写真の左の人は一昨年のオーガナイザーのRudiの奥さん。私を覚えていてくれました。ビールを調達。濃いめのベルギーのビールはなかなかおいしい。アルコール度は4%未満の物から11%のものまでいろいろありますがここにあるのは5~6%程度の3銘柄のみでした。写真のPDAはIOデータのCFGPS2を装備、マイクロソフトのAutoRoute2004という地図ソフトをインストールしてあります。カーナビほどの機能はありませんが、地図上での現在位置表示が出来ます。問題は防水。所詮OAグッズなので、フィールド使用だと壊しそう。で、サランラップ巻きにしました。

  

 これは白ビール。ドイツの白ビールとはかなり異なります。銀河高原ビールは「ドイツの...」と謳っていますが、むしろこのベルギーの白ビールに近いです。これもまた別名柄。ドイツのピルスに近いですが、少々甘め。アルコール度も4.8%と普通。ビールの話はこのくらいにしてGSの話に戻しましょう...と思ったのですが、この後はなし崩し的に飲み会に突入、そのまま寝てしまいました。

 

 2.4/10(第2日)
 この日もやっぱり薄曇りでした。夜は氷点下になったようで、周囲には霜がおりテントの夜露も凍っていました。
とりあえず朝飯。回りをうろつき各車を観察します。

 
 これは4バルブ系定番のフロント21インチ化。ブレーキホースの取り回しとフェンダーの取付をいじれば、サスストロークの調整等は無くともエンジンと干渉しないそうです。

 
 フェンダーの処置が邪魔くさければ取っ払ってしまうのも手でしょう。しかしメーター回りが泥まみれになりそう。ちと古めのGS。軽そうでうらやましい。。。

 
 背高のっぽのGS。背が高いのにタイヤを始め、各所はオフ向けにあらず。見覚えのあるGS。これは英国人Simon のGSで、私は2002年のミーティングで彼に会っています。彼は2003年は不参加でしたが、ユーラシア大陸を自走して日本まで行っていたので参加できなかったそうな。(彼は2002年のGRMにも参加しています。)

 
 最新型の12GS。この他にも1台居ましたが、2台ともオフツアーには来ませんでした。Nico Bakkerのシリンダーガード。私は初めて見ましたが、純正の樹脂製の小さな物よりプロテクト効果は大きく、パイプ型のガードより軽量で良さそうです。聞いたところ、左右ペアで350EUR程度とのこと。(家に帰った後、ネットで調べましたが記載はありませんでした。 メールで問い合わせるも返事無し。そのうち電話でもして帰国前にはゲットしようと思います。)

 
 身軽そうなGS。サイドカーのおじさんもやる気満々です。

   

 ブリーフィングです。引率は一昨年と同じくEddy。オフツアーの参加者は50台余。この大部隊の引率は容易ではありません。このため、「System D」と言われる方法をとります。これは以下の方法です。
(1) 先頭としんがりにスタッフがつく。
(2) 分岐路では先頭のスタッフが2番手(非スタッフの参加者)に身振りで指示、2番手は分岐路にとどまり3番手以降の誘導を行う。
(3) しんがりが来たら2番手も出発。つまりすべての参加者が、絶えず2番手→しんがりの前→順次繰り上がり→2番手;というD字型のループに沿って動くわけです。
 この方法はなかなか便利で、先頭と最後尾で20分ほどの時間差がつきながらも50余台の参加者で迷子になった人は一人もいませんでした。しかしこれは交通量の少ないベルギーだから出来るまねでしょう。日本では交通量が多いので、分岐路で誘導を終了した2番手が隊列に戻るのがスムーズに行かず、先頭と最後尾がもっと間延びしそうです。

 
いざ出撃。

 
 さてのっけから泥遊びです。マディーなシングルトラックにすぐ突入。泥をまき散らしながら進みます。サイドカーも行きます。この人、すごい腕前だった。。。。

 
 途中でBMWのディーラーで休憩。。。というよりトラブルシューティング。1150GSがAアームのてっぺんのボルトを失ったためです。ここはディーラーですから部品はあります。特に問題もなく解決。

 
 今日はまだ転んでいないのできれいな私です。またシングルトラックに入ります。高速道路の脇の道です。少々チュルっぽい上に側溝があるので注意が必要です。

 
 渋滞です。見に行ってみると。。。。。期待通りさっそく落ちた人が2名。

 
 欧州人はたくましいです。1150GSでも4名居れば上がってしまいます。お昼ご飯です。小雨がぱらつく中、パン屋で適当な物を買い道ばたで食べる。日本の林道ライダーとやることは変わりません。(笑) その後またシングルトラックへ。

 
 見通しの良い林間コースです。ところどころ急坂があるので、あんまりゆっくり走っているとひっかかります。さて突如現れたサンドセクション。みんな砂をかきむしりながら登ります。

 
 砂自身は細かくもなく湿っていたのですが、砂地が苦手な私は初速不足で餌食になりました。

 
 私以外にも犠牲者続出。私は4発トライしてあきらめ掛かりましたが、お助け入りで何とか突破。キツかった。。。
キャンプ地に帰ってきました。砂地で泥が落ちた上に河渡りもしたので、思いの外きれいです。着替えてまた周りをお散歩します。

 
 怪しげなGSを見つけました。なんとはなしに、防寒カバーのついたカブを彷彿させます。
なんとこの人、オーストラリアからの自走。(もちろん船も使ってますが)スゴい人がたくさんいるものです。

  

 そのまま飲み会に突入。昨年英国のミーティングに誘ってくれた、ベルギー在住の英国人Marcとその友人達のテーブルで飲みました。
 この日の夕飯。ベルギーは食べ物がうまい。外に出るとたき火をしていました。たき火に寄り集まるのも日本の林道ライダーと変わりません。そうこうするとEddyが謎のシュナップスをふるまい始めました。これは結構強くてすぐに良い気持ちになり、テントに戻って寝てしまいました。

 
3.4/11(第3日)
 この日の天気は薄曇り。天気は回復方向だそうな。朝の気温も前日よりは暖かいです。
 
 
 またまた回りをお散歩です。このサイドスタンドはオーナーの自家製だそう。オートリターンがイヤなので作ったそう。剛性も高くしっかりしています。

 
 皆出撃準備を完了。私も準備完了。昨日砂地で4回転んだだけなのできれいです。

 
 またブリーフィングです。注意事項は昨日と同じ。汚いGSに乗った汚いオヤジ達 (私も含む) の出撃です。

 
 まずは難易度の低いところから。とはいえ局部的に深いチュルがあるので油断するとすっころびそうです。ここを皆さん、ほわわkm/hで突っ走ります。しかし馬が来たので停止してやりすごし。馬を驚かさない配慮です。しばらく適度なチュル道を走ります。 

  
 ここはアタック坂です。坂の距離は短いのですが、斜度がきつく路面もふかふか、しかも助走距離が稼げない難しいところです。皆さんかっぽじりながら登っていきます。犠牲者も数名。

 
 私も犠牲者のひとり。2回トライしてあきらめ迂回路に回りました。(涙)敗因はスタンディングポジションが取れず、フロントが砂に取られてあさって方向に行ってしまったこと。ここは別の坂です。助走距離は稼げますが路面はやっぱりふかふかで、坂の距離も長く、途中に木の根が張り出しています。はまると大変です。

 
 私はここは制覇。助走距離が長かったことが幸いし、初速を十分稼ぎスタンディングポジションでアプローチできたため、突破できました。その後もこんな坂が。。。。迂回路があっても、坂があれば登りたがる林道ライダー。。。というのはどこの国も同じです。

 
 お昼ご飯です。小さなファーストフード店の店先で休憩です。なんだか串焼きみたいですが、結構ボリュームがあります。

 
 しばし難易度の低いところを走り、またチュルまじりの林間コースです。ビビってゆっくり走っていると、突如現れる急坂に対応できず沈します。かといって速度を上げるのもしんどい。とくに大柄な4バルブには酷です。

 
 この人は下り坂で沈。フォグランプとウィンカーを奉納。またブレーキマスターシリンダーもやられたので、ここで戦線離脱。合掌。ちなみに私も何度かヤってます。写真が残っていないだけで。(笑) この後はチュルのストレートを爆走です。時には道でなく脇の畑らしきところも。(農作物の収穫後で単なる泥地)

 
 スタンディングでないととても車体のコントロールが効きません。また、失速するとすぐにフロントが流れ始めます。へなちょこの私は車体が安定する最低限の速度で走っていましたが、みなさんその横をほわわkm/hでぶち抜いていきます。これで本日のオフ走行はおしまい。みんなで最後の休憩です。

  
 この人、英国人のSimon。一昨年のミーティングにも来ていましたが、昨年は不参加でした。それは昨年は自走でガールフレンドと日本まで行っていたからです。GRM2002に参加、澤田さん、フラットの小川さんのこともご存じでした。

 
 その後キャンプ地に戻りました。今日も砂地での転倒が主で、チュルでの転倒は1回だけだったので比較的きれいです。機体の損傷も無し。この日はケータリングサービスは無し。パスタをゆでようとお湯を沸かしていると、隣のテントの英国人ご夫婦がナポリタンを振る舞って下さいました。  

 

 私のコッヘルに結構な量を盛りつけて下さったので、「もうそのくらいで。。。」と言ったところ、「そんなこと言ってるからあなたは大きくなれないのよ!」と奥さんに言われてしまいました。そりゃ私はマッチョではないですが、普通の日本人を屈強な欧州人に比すれば分が悪いです。とは言う物の、一日中スタンディングで走り、しかも数回でんぐりがえっているので、これだけ食べても空腹でした。結局追加で、自分が持参したパスタも食べました。
 夜はこのSimonのスライドショー。ユーラシア大陸を横断、日本まで行き、東南アジア経由でまた欧州へ。
写真は撮りそびれましたが、GRMのスライドでは、見慣れたエレファントが。。。。日の丸カラーのB.O.C.土谷隊長の愛機です。メットをかぶった土谷隊長も写っていました。その他フラットでの写真では澤田さん、小川さんも写っています。(これは澤田さんのサイトの「二組のサイモンたちと」に載っている写真と同じでした)こういうのを見ると、「関東オフローダー300人説」的な、オフロード仲間の世間の狭さを感じます。(笑)よく運動したせいか酔いが回るのも早く、この日も早々と寝てしまいました。

 
3.4/12(最終日)
 結局この日が一番天気が良かったです。

 
 しかし今日は帰るだけ。朝飯を食べ、テントをたたみ、帰路につきました。ベルギーのビールが好きな私は何本か買っていこうと思ったのですが、あいにく祝日のため、普通のスーパーはすべて閉店。

 
 Kasterleeの街中で日本でもおなじみのSparを発見、とりあえず10本ほどゲット。あまりにも天気が良いので、すぐには高速に乗るのももったいと思い、しばらくは下道をのらりくらりと走りました。
 何故か街角にある戦車。

 
 他の町でもみかけました。あとはオランダ国境から30kmくらいのところでA2にのり、一気にDarmstadtまで走りました。



 ちなみにこのGSミーティング、来年はオランダで、2006年にまたベルギーでやるそうです。私は7月には帰国が決まっており、当然GSも6月には船積みして日本に送り返します。なかなか難しいのでしょうが、いつかまたベルギーに泥遊びに来たいと思っています。(おしまい)