DOA ( ドアーオブアドベンチャー ) レポート 

レポートはDOAをこよなく愛す、R100GSのフジワラです。

プロローグ

 それは歌舞伎町から始まった。
 集まったのはビックオフメンバー5人のオジさんたち。健全なビックオフ・メンバーたち
はピンクのネオンには目もくれず、タカハシさんが見つけてくれた怪しい地下のお店へ。
 今回のメインはDOA作戦会議という事で、参加経験のある私から何かアドバイスが出
来ればと思い参加させていただきました。他の4人は時々集まって飲み明かしているよう
ですが、私はツーリング以外ではお会いした事はありません。
 まずはメンバー同士の親睦、というよりは私が皆さんの事をもっと知りたくて、過去のバ
イク履歴について語ってもらう事になりました。
 こんな話題はすぐに終わるかと思いきや、皆さん流石に最後にたどり着いたのがビック
オフという事で、それぞれ個性的なバイク暦で、この話がなかなか終わりません。その時
の会話を紹介しちゃうと、それだけでレポートが出来ちゃうので今回は割愛しますが、特
にニシグチさんが4輪も含めもの凄い車歴です!!
 それと、ニシグチさんのビックオフロード・クラブの初ツーリング参加秘話も面白かった
なぁ。興味のある方はクラブ・ツーリングの休憩時にでも聞いてみてください。(但し、話は
長いですよ!!) そんなこんなで、あっという間に時間が過ぎてしまいました。
 全然DOA作戦会議になってない!!ということで、ニシグチさんが格安で借りる事がで
きたローダートラックにマツキさんと私のビッグオフを3台積んで現地に向かう「前泊楽ち
ん作戦」という事で話がまとまりました。タカハシさんオガワさん、来年は一緒にDOA参加
必須ですヨ!!

前哨戦

 まずはDOA前日の金曜日に集合地点である都内のタイムズまでリエゾンです。午前9時過ぎに到着しましたがニシグチさん、既に到着済みでトラックにタイガーを積み込もうとしています。今回借りたローダートラックは車両専用で荷台が若干傾いた状態でバイクを積み込む必要があります。3人とも初めての作業という事でバイクを乗せるのに手こずり、さらに、寄り道したり渋滞にハマったりして東北道での昼食は2時を大きく過ぎてしまいました。でも、風に当たらずに移動できるなんて、ほんと楽ちんです。
 試しに少しの距離ですが、初トラック運転です。オートマ、ターボ、それに大きな窓で意外と運転しやすかったですよ。でも、下道は大きすぎて勘弁という事で、高速降りる前にニシグチさんに交代です。
 途中、ニシグチさんのバイクが荷台で倒れてミラーが根元から折れるというハプニングがありましたが、大きなダメージも無く無事に昭和村の「からむし織の里」に到着です。結局、個人でトラック借りて複数のバイクを積んでくる人は見かけず、ちょっと場違いな感じでしたが、最終日にローダートラックの真価が発揮されようとは、この時点では誰も想像していませんでしたが、その話は後ほど。。。。。


 

 夜は関東圏では2番目にオフロードに強いと言われている私もお世話になっているディーラーさんのタープサイトにお邪魔して宴会です。初めて顔を合わせる人もいたりしましたが、皆、ビックオフをこよなく愛す者同士、あっという間に打ち解けて楽しい宴会と相成りました。
 さて、明日は早いので、早めの就寝です。と、雨の音が。。。 初回DOAと同じ、雨の2日間になるのかなぁと心配しながら眠りにつきました。


                 「今年もやってきましたDOA。存分に楽しんで下さい。by ヤマハラ」
   

                      
 「ボクはからむし織りの「からむん」ですです。ヨロシクね!
Day 1 初日

 朝起きると、空は晴れ間がのぞいてます。しかし、予報では午後からの雨とのこと。なんとかギリギリ持ちそうな感じの中、村長さんの挨拶も終わり、いよいよゼッケン順にスタートです。
 クラブの中で一番のスタートはマツダさんのGSです。そして、1分おきに二人づつスタートして、あっと言う間に私の番!!とは言ってもレースでは無く林道ツーリングなので、ドキドキ感よりもワクワク感で一杯です。関東圏からだと日帰りではなかなか来れないし、今回の為に特別に許可をもらい普段走れない林道も走らせてもらいます。そういう意味でも毎年開催してくれる主催の山原さんには感謝の言葉をかけ、いよいよスタート! とは言え、そこは普通の公道です。きちんと左右を確認してから道路に出る必要があります。
 そこで、いきなりマツダさんが止まっているのを発見!どうしたのかと声をかけてみると、ニシグチさんを待ちましょうとのこと。そうですね、ツーリングなんで皆と一緒に走った方がおもしろいですよね。ニシグチさんを待って出発です。

   

 まずは、足ならしの林道、そしてフラットなロングダートに続きます。3人とも気持ちのいいペースで、あっと言う間に眺めのいい休憩地点に到着です。気持ちのイイ林道だねえ?と話していたら、マツキさんからLINEにメッセージが!どこにいるの?って、あ、マツキさんの事忘れてた。マツキさん、ごめん!さぁ、我々はさっさと先を急ぎます!!
 次は吸い込まれそうな崩落個所で記念撮影をして、 チェックポイントでお弁当です。美味しいお弁当の後はいきなり林道で、ここでも3人で気持ちよく走ります。よっぽど気持ちがイイ走りをしているのか、リアが空転しまくってるのが判ります。気持ちいいいいぃぃぃぃぃ!!
 ところで、リアからメーターケーブルが出ているGSはリアが空転すると、どんどんオドメーターが余計に加算されてしまいます!!DOAは、いかにコマ図が示す道を間違えないように走り、走行距離が一番少ない人が上位に入る事ができます。でも、天気も良く林道も気持ちいいし、今日はそんな事はどうでも良くなりました。最初からそんな事(距離の事)を考えて走っていないマツダさんに追いつこうと、私もニシグチさんも右手に力が入ります!


    

 ところが、調子に乗りすぎてバイク一台分の高さのミゾに私のバイクを落としてしまいました。しかもバイクはひっくり返てお腹を上に向けちゃってます。こんな山の中でこんな醜態をさらけ出すとは、ちょっと調子に乗りすぎですね。ひっくり返ったGSを助けていただいた皆さん、この場を借りて御礼申し上げます!

 まだまだ楽しい林道が続きます。相変わらず、マツキさん、どこ走ってるんだろうと考えつつ、私、ニシグチさんマツダさんと3人だけでランデブー走行です。そこに、我々の前に突然現れたのはシェパードぐらいの大きさの岩でした。
 岩の感じからすると、崩れ立ててのホヤホヤです。しかも、いくつもの轍があるので、走行ラインはその岩の真横を通らなくてはいけません。なんか近づいただけで動き出してしまいそうで危ないなぁと思いながら岩を見つめていたら、バイク運転のセオリーどおり少しづつバイクが岩の方向に向かっていきます。やばいヨやばいヨとスタンディング体制でバイクをギリギリかわしたつもりが、「ゴン」という鈍い音が!!
 水平対向エンジンのシリンダヘッド左側が岩にヒットしたようです。走りながら下を覗くと幸いダメージは無さそうに見えたのですが、しかぁし!!このダメージがボディブローのように効いてトンデモナイ事になろうとは知る由しもありませんでした。ちなみに直後を走っていたニシグチさん、私が岩にヒットしたおかげでシェパードくらいの大きな岩がゴロゴロと転がってきて大変だったようです。
 まぁニシグチさんのことだからフロントアップでもして軽くかわされたと思いますが、その話を聞いて真っ先に「インディジョーンズ」で転がる大岩から逃げ回るハリソン・フォードを思い浮かべ、一人ほくそ笑んだのは内緒です。(ニシグチさん御免!)

   

 そうこうしているうちに、だんだんと雲行きが怪しくなってきました。そしてついに本降りの雨に・・・。雨の中ドロドロになりながら今日のゴールである特設キャンプ場手前の最終チェックポイントに到着です。
 ここにはビックオフでも走破可能(?)なトライアルコースがあり、クリアすればボーナスポイントとして走行距離から何Kmか引いてくれるそうです。しかし、今日は結構リアを空転させすぎてオドメーターがかなり進んでいそうだったのと、雨で湿った体は暖かい温泉の事で頭が一杯だったので、トライアルはパスしてキャンプ地へ直行してしまいました。クラブのメンバーの中には何人かチャレンジされたようですが、ハイ、もうそういう事は興味無くなったので、結果は不明です。
 実はキャンプ地から温泉まではバイクで10分くらいの距離があります。雨の中、バイクで温泉に向かうのはつらいと思いますが、今回は4輪での参加、空荷のトラックで昭和温泉しらかば荘へ直行です。いやぁ、やっぱバイクツーリングと温泉、これは止められない楽しみの一つですね。
 その夜は昭和村の皆さんの全面強力による美味しい夕食が待っています。そして、今夜は雨の中どうなるかと気をもんでいましたが、毎年恒例のジャズコンサートが今年も開かれました。さすがに今日一日いろんな事があったので、テントの中で遠くから聞こえるジャズをBGMに眠りについてしまいました。

  

Day 2 最終日

 朝起きると・・・、雨は止んでいるようです。空を見上げると、一部青空も見えますが山の方向には雨雲も見えるという微妙な状況です。しかたなく半乾きのカッパを着て、2日目のスタート準備に向かいます。
 スタート地点では昨日は突然の仕事で参加できなかったツチヤ会長とも合流できました。今回は現役女子高生ライダーの娘さんと仲良く親子で参加です。私のスタートは後半組の最後のほうというのと、今日は昨日よりも距離が長いという事で、あまりのんびりと走っていては遅くなりそうです。

  
                            
(DOA 最初で最後の現役女子高生の参加者!)

 また、いつもは後泊して翌朝ゆっくり帰路に着くというパターンだったのが、今回は仕事の関係で今日中には帰らなくてならず、ちょっと早めのペースで行かなくてはなりません。とは言え、DOAはレースではありませんので、のんびり景色を楽しみながらのツーリングです。途中のチェックポイントに到着する頃には雨もすっかり上がり青空も広がってきました。
 そこで合流した会長親子とマツキさんとルート途中の食堂でまったりランチです。しかし、なんだかマツキさんの具合が悪そう。今回初参加のマツキさん、夜の冷え込みが想像以上だったようで風邪を引いてしまったようです。残念ながらマツキさんとはここでお別れ、一人でキャンプ場に戻り休むとの事。マツキさん、来年は最後まで一緒に走りましょうネ。

   

 会長は、娘さんをサポートするため一緒に走るとの事で、ここからは私一人でソロツーリングです。でも、一人で走るにはチョッピリ寂しいお年頃のオジサン、先に出発したクラブメンバーや知り合い達に追いつこうと、ちょっと林道でペースを上げます。
 ところが、昨日はあんなにブイブイ言わせて走っていたのに、今日はなんか転倒ばかり。しかも、決まってコーナーばかり、しかもなぜだか左側ばかりに倒れてしまいます。(右コーナーでも!)それまでは一人で走行しているのでトラブルがあったら大変と十分に減速しながら走っていたので、ダメージは無かった(つもり・・・)なんですが、事件は起こりました。
 気持ち良く飛ばせる林道で、ついついペースが上がっていたようです。少しでも皆に追いつこうと林道でペースを稼ぐ作戦だったのですが、大きな登りぎみの右コーナーを抜けた瞬間・・・、飛んでしまいました。 何が起きたのか判らないくらい一瞬の出来事でリカバリが一切出来ませんでした。左側は崖だったのですが飛ばされたのは右側にある山側で、しかも幸いフカフカの土の上だったので体へのダメージはかすり傷程度のみ。なぜかバイクは進行方向と逆向きになっていて、ミラー、ウィンカーは折れて、ハンドルも少し曲がっています。さらに、カウルが少し裂けてヘッドライトユニットが外れてしまってましたが、見た目はOKそうです。トホホな気分になってしまいましたが、エンジンもかかりなんとか走れそうです。(凄いぞGS!!)
 しかし、バイクを移動させようと発進したところ、左下から煙が・・・、え、なんで、もしや、嘘でしょ、と、バイクから降りてエンジンの下を覗き込むと・・・。じぇじぇ! ポッカリ穴が!ちょうど左のシリンダヘッドカバー後ろ側に4cmx2cmくらいの大きさの穴が開いていて、吸気バルブが丸見えです。何度も転倒した事により削れて薄くなったシリンダーヘッドにトドメを刺してしまったようです。 やっちゃったなぁと思い、転倒地点のコーナー横の広いスペースまでバイクを押して、しばし茫然自失。
 とはいえ私は2バルブGS乗り、こんな事は想定の範囲内です。以前も林道で穴を開けた事があり(その時もたしか左側だったような・・・)。その時以来、耐熱性のあるエポキシ系充填剤を持ち歩いてるんです。
 という事で、そのパテで塞げば、あまり圧力がかかっていない箇所なので、なーんてことありません。
 まずは2つの素材から出来ている棒状のパテをコネコネして混ぜる必要があります。コネ混ぜる事により化学反応が置きパテが熱を帯び柔らかくなってからシリンダヘッドの穴を塞げば、あとは転倒しないようゆっくり走ればなんとかなりそうです。
 工具から粘土状のパテを取り出してコネコネしようとしたところ・・・、パテがボロボロと砂のように崩れるではありませんか!!じぇじぇじぇじぇぇぇぇ〜!! こりゃアカン、ほんまにアカンでぇ!!
はい、その後の調査の結果、この手のパテの有効期限は3年程で、私が持っていたパテは多分10年以上経っていた訳で、完全にアウトです。はい、お手上げです、脱力です、トホホのホです。しばらく途方にくれてました・・・。
そこへなぜか通りがかりの赤帽さんが声をかけてくれました。 「いやぁ、こんな林道を通ってまで配達してるのかぁ、大変な商売だなぁ」と、マジで思いましたよ、私は。いろいろ話を聞いてると、なんとその筋では有名なテネレ急送のイジュウインさんで、娘さん(ドライバー!)とサンバーでDOAに参加されているとの事。残念ながら今回は修理道具を下ろして走っているとの事で、少ない工具箱からいろいろ出していただきましたが、やはりパテが無いと穴は塞げそうもありません。

   

 そうこうしているうちに後続の会長親子も到着し、会長が持っていた残り僅かなパテとイジュウインさんが空き缶で作ってくれた蓋のおかげで無事シリンダヘッドの穴を塞ぐ事が出来ました。いやぁ、山の中の林道で2人のお父さんと、その娘さんである女子高生と女子大生に見守られながら修理完了という、これからも無いであろう貴重な場面でした。ほんと、お二人には感謝です。
 今度は会長を先頭にして間に娘さんをはさんでの走行です。その娘さん、林道走行の経験がほとんど無いというのに倒れても泣き言も言わず最後まで林道を走破することが出来ました。さすがツチヤ会長の娘、10年、20年後のビックオフロードクラブも、これで安心ですね。
 最後のチェックポイントも無事通過し、あとは舗装路のみで1時間もかからずゴール地点でしょう。いろいろありましたが、最後は天気も完全に回復して楽しいラリー・ツーリングでした。しかし、事件はまだまだ続きます。
 会長のエレファント、燃料ポンプがいかれて突然走行不能に。いくらセルを回してもエンジンに火が入りません。あともう少し頑張っていれば、ひょっとして私のトラブルが無ければゴールまで持ったかもしれませんが、もうどうする事も出来ません。幸い会長はトランポで来ていたので、ゴール地点までたどり着けばなんとかなりそうです。
 ここで、我々がタイムズ・レンタカーから借りたローダートラックの出番です!!ニシグチさんに今の状況を説明したところ、すぐに向かってくれるとの事。ほんとフットワークの軽さには感謝です、ニシグチさん!!
エレファントと会長を現場に置いて、私と娘さんでゴールに向け最後のリエゾンです。
 いろんなアクシデントが重なり、もうすっかりあたりは暗くなってしまい、最後はナイト・ランです。 ゴール地点手前のワインディング、娘さんの非力なKLX125では辛そうです。私もボロボロになったミラーで後ろの娘さんを確認しながらの走行です。そして、ビックオフのメンバーも含め、残っていた何人かのエントラントやスタッフからの拍手の中、完動のゴールです!!いやぁ、ほんと長い一日でした。


   

 最後の表彰式では会長親子は特別賞としてコールマンのテントをゲット!同じGS乗りのツジさんも、後から写真見たら表彰されていましたが、なぜかは不明。当初の予定では余裕でゴールするつもりだったので到着後は荷造りやらバイクの積み込みやらで、閉会式には最初から参加できませんでした。
 しかし、その後発表されたリザルトによると私もタービュランス賞という高距離走行者のみに与えられる栄誉を授与されていたようです。そして我々のリエゾンはまだまだ続き、家に着いたのは深夜1時を回っていましたとさ。
 2日間いろいろトラブルはありましたが、どれも今考えるといい思い出です。そして、バイクを起こしてくれた通りがかりのエントラントの皆さんや会長親子を最後までサポートしていただいたスタッフの皆様のおかげで無事ゴールする事ができました。この場をお借りして御礼申し上げます。
 それでは皆さん、次回のDOA
でまたお会いしましょう!!

 

DOA2013 SYOWA ゼッケン&リザルト

ゼッケン (1Dリザルト−2Dリザルト) ライダー バイク
 28 (7647) ウメダ トオル  AFRICA TWIN 
 33 (8031) マツダ タカユキ  R100GS(タービュランス賞)
 38 (9085) ハヤサカ ジュン  990ADV/DAKAR
 40 (108−7) フジワラ セイゴ  R100GS (タービュランス賞)
 58 (/−R) ツチヤ ウンカイ  ELEFAMT900M (コールマン賞)
 59 (/−44) ツチヤ ヨウシュン  KLX-125D-TR(コールマン賞)
 70 (5693) ニシグチ キヨシ  TIGER800XC
 81 (88−R) マツキ シンイチロウ  990ADV-R
 86 6522) ツジ ヤスヒロ  R100GSR/PD
                  (タービュランス賞・昭和村6周年記念賞)
 118 (2495) サイトウ カズヤ  MATE80