*続・お出かけ*
特に行き先は決まっていない
お出かけだったけれど
土方さんがお手製のおにぎりを
持参してくれたので
飲み物や食べ物を買い足し
私たちは代々木公園に向かった。
芝生の上にレジャーシートを敷いて
食べ物を並べる。
「ピクニックですね♪」
私は笑顔で飲み物を配る。
「そうだな」
翔太くんが紙コップを
受け取りながら笑い返した。
「ぴくにっく?」
土方さんが怪訝な顔をする。
沖田さんもきょとんとしている。
「あ、えーと…遠足…?」
私は慌てて日本語を
考えるけど出てこない。
「遊山ってとこだな、というか、土方さんも沖田さんももう少しは現代用語に詳しくなったほうがいいんじゃない?」
翔太くんが
助け船を出してくれたけど。
「(言葉に棘が…)」
私は思わず冷や汗をかく。
「ふん、自分が物知りのような言い草しやがって」
「仕方がありませんよ、確かに私たちは現代の言葉にまたまだ疎いですからね…そんなことよりお腹が空いたので食べましょう?」
沖田さんのおかげで
一瞬即発は免れたけど…
笑顔の沖田さんの
瞳にも闘志を感じる気がした。
「(仲良くして欲しいのにな…)」
そんなこんなで
なんとかランチタイムがはじまった。
私「さっそく土方さんのおにぎりいただきまーす」
土「おぅ」
私「わぁ美味しい!!沢庵刻んで入れたんですね」
土「あぁ、お前がいつか作ってくれたのを真似した」
私「覚えててくれたんですね」
土「忘れる訳ねぇだろ」
沖「確かにあのときの○○さんのおにぎりは格別でした」
翔「えー何それ、いつの話?」
土「お前には教えん」
翔「なんだよー」
私「あ、あのね…私が新撰組の屯所でおにぎり作ったの」
翔「へぇーいいな、今度出かけるときは、○○が弁当作ってよ」
私「え…」
沖「私も食べたいです、○○さんの作るお弁当」
私「あ…」
土「……毒味は俺がする」
私「土方さん…毒味って…」
翔「そうだよ○○に失礼だろ」
土「…ふん」
こんな感じで
次のお出かけはどこに行くとか
誰と行くとか行かないとか
大騒ぎになりながら
ランチタイムは終了。
「(つ、疲れた…)」
その後…
翔太くんがいつの間にか
買っていたブーメランで
翔太くんと沖田さんは
遊びはじめた。
土方さんは
レジャーシートで横になっている。
私はその横に座っていた。
気持ちの良い風が頬を撫でる。
「土方さん」
「ん?」
「翔太くんが嫌いですか?」
「……………」
いきなりの質問に
土方さんは驚いていたけど…
「嫌い…かもな」
「どうしてですか?」
「……お前と仲が良いからに決まってるだろうが」
「………!?」
土方さんの方を見ると
身体ごとふいっと横に向いた。
背中全体から照れ臭さが
漂っている気がする。
「私は…みんな仲良くして欲しいです」
「それは無理なお願いだな」
土方さんは起き上がると
私を見つめた。
顔がかっと熱くなる。
「俺はお前が…」
土方さんが
そう呟きかけた瞬間。
「抜け駆けは許しませんよ」
沖田さんの声がして
土方さんはさっと立ち上がる。
「総司…」
「なんですか?」
沖田さんは笑顔だ…
でも、目は笑っていない。
「邪魔しやがって…」
土方さんは
歩いて行ってしまった。
沖田さんが
私の横に腰かけた。
ペットボトルのお茶を一口飲んで
蓋をして近くに置く。
「○○さん…」
「はい」
「○○さんは土方さんが好きなんですか?」
「え…いや…わからな…」
俯きかけた私の顔を
沖田さんはじっと見ている。
「わからないなら、あまり隙を見せないで欲しいです…私の気持ちはあなたに伝わってると思ってたのに…」
気付いたら手を握られていて
身体が急に熱くなる。
「………っ」
「…土方さんに抜け駆けは許さないって言ったのに、こんなところを見られたら怒られますね」
すっと手が離れて
強い風が吹き抜けていく。
「結城くんと話をしました…あなたのことや坂本さんの話…」
「………」
「現代のことも色々教えてもらいました、彼はとても賢い」
沖田さんは
楽しそうに笑っている。
「正々堂々と勝負しなければと思いました」
「……勝負?」
「ええ…あなたをかけてね…」
いつの間にか
鋭い眼光で正面を見ている。
そこには
翔太くんが立っていた。
沖田さんは
風みたいに立ち上がって
すっと歩き出した。
入れ替わりで
翔太くんが私の横に座る。
「何話してたの?」
「あ、色々…翔太くんも沖田さんと色々話したんだね」
「うん…なんかちょっと恐いけど、土方さんよりは話しやすいから話してみた」
沈黙が流れる。
なんだか緊張してしまう。
「ひ、土方さんも悪い人じゃないんだよ…ちょっと不器用っていうか…なんていうか…」
「うん、わかる」
会話が途切れる。
心臓の鼓動が耳に響く。
「恋敵だから仕方ないよ…俺もどうしても突っかかっちゃうし」
翔太くんは
はにかむように笑う。
「ライバル…」
「そうだよ、俺たちは恋敵だから…仲良く楽しくってのは、なかなか難しいけど、○○にそんな顔させるのは辛いんだ…」
私はどんな
顔をしてるんだろう。
自分の手で頬を包み込んで
俯いてしまった。
「○○…?」
「あ、ごめんね…なんか3人には仲良くして欲しいって思ったけど…そっか、そっか…」
自分に言い聞かせるように
呟いていると…
「もうタイムリミットだ…」
翔太くんの声がして
ふと顔を上げると
土方さんと沖田さんが居た。
「てめぇ泣かせたのか?」
「ち、違うよ」
翔太くんが慌てて立ち上がる。
「ったく、時間制限なんて」
「何言ってるんですか、一番長い時間話してたでしょう」
「お前が悠長にブーメランとやらで遊んでるからだろうが」
「土方さんも面白がってた癖に…」
私は状況が把握できなかった。
「ごめんな、○○」
「………?」
「3人一緒だと喧嘩みたいになっちゃうから、時間決めて2人きりになろうって提案したんだ」
「……え……」
「○○さんの困った顔を見るのは辛いですからね」
一気に色んなことを理解して
頭がパンクしそうだった。
私のために
みんなで考えてくれて
見えないとこで
仲良くしてくれてたんだ。
嬉しくて泣きそうになったけど
きゅっと唇を結んだ。
「みんな、ありがとう!!」
満面の笑顔でお礼を言った。
「ふん、いつもそうやって笑ってりゃいいんだ…」
「やっぱ○○は笑顔だよ」
「あまり辛い顔しないで下さいね」
3人それぞれの笑顔に
私は心の底から幸せを感じた。