現代に戻らず翔太君と生きていくことを決めてからしばらくして、私達は夫婦になった。
現代を懐かしく思うことはあるけれど、龍馬さんの意志を継ぎ新しい時代の為に一生懸命な翔太君のそばで過ごす日々は幸せだ。
いつものように朝食の支度をしようと起き上がった時、急な目眩がして布団の上にしゃがみこんでしまう。
『○○?』
隣で眠っていた翔太君が目をこすりながら体を起こす。
『ごめん。起こしちゃった?すぐに朝ご飯用意するね。』
私は慌てて立ち上がろうとするけど、足に力が入らずまたしゃがみこんでしまった。
『どっか具合悪いのか?』
翔太君が心配そうに私の額に手をあてる。
『ちょっと立ちくらみしただけだから大丈夫。』
私は笑顔で立ち上がろうとしたが、翔太君が私の手を引いてそれをさえぎる。
『ちょっと熱があるんじゃないか?いいから休んどけ。』
『でも…』
『いいから。今日は俺が朝食作ってやるから。』
翔太君はさっと立ち上がるとは私を布団に寝かせて朝食を用意し始めた。
しばらくして、翔太君がお盆に朝食をのせて持って来てくれた。
『食べれるか?』
心配そうに私の顔を覗きこむ翔太君
『うん、大丈夫。』
私は起き上がって翔太君の用意してくれた朝食に手を伸ばしたけど、炊きたてのご飯を食べようとした時に急に気分が悪くなってしまう。
『…ごめん、やっぱりちょっと食欲ないみたい…』
ご飯を食べない私を見て、翔太君は大慌て
『○○の食欲がなくなるなんて一大事だ、すぐに医者呼んでくるから横になってろ』
そう言うと自分のご飯も食べず飛び出して行ってしまった。
『翔太君、そこまでしなくても…』
私の止める声もきかず走って行った翔太君は、お医者さんを連れてすぐに戻ってきた。
私が診察を受けている間もずっと心配そうな翔太君を見て、私はちょっと嬉しくなってしまう。
(もう、心配性なんだから…でも、あんなに心配してくれるなんて、ちょっと嬉しいかも…)
そんなことを考えているうちに診察が終わる。
『先生、○○は大丈夫なんですよね?なんか悪い病気とかじゃないですよね?』
心配そうにお医者さんに詰め寄る翔太君。
そんな翔太君を見て、お医者さんはにっこりと笑って言った。
『おめでとうございます。』
突然のお祝いの言葉に私も翔太君もきょとんとしてしまう。
『おめでとうございます。御懐妊ですよ。』
お医者さんが笑顔で言う。
(えっと…御懐妊って…)
突然のことに頭がついていかない、
『…やったー!』
翔太君が大声で叫ぶと私を抱き上げてくるくると回りはじめる。
『きゃっ!翔太君危ないよ』
急に抱き上げられて私は慌てて翔太君の首にしがみつく。
『こらこら、そんなに乱暴にしてはお子さんにさわりますよ。』
お医者さんにたしなめられて、翔太君は慌てて私を布団の上に下ろした。
『○○、ごめん大丈夫か?』
急に心配な顔に戻って私の顔を覗きこむ。
『大丈夫。ちょっとびっくりしたけど。』
私が笑顔でそう言うと、ほっとした顔で私の手を握りしめた。
『じゃあ私はこれで』
お医者さんがそう言って立ち上がるのを、二人で慌てて頭を下げて見送る。
『ありがとうございました。』
お医者さんが出ていくと、翔太君はゆっくり私の方を向いてまた私の手を握る。
『○○、ありがとう。』
そう言って今度はゆっくりと私を抱きしめる。
『俺、これからもっと頑張るから。○○の為にも、これから生まれてくる子供の為にも、日本をいい国にできるように…○○の笑顔を守れるように』
私は耳元でささやかれる翔太君の新たな決意を聞きながら、私も…という気持ちをこめて翔太君の背中にまわした腕に少しだけ力をこめて幸せをかみしめたのだった