*散歩-sunset-*
夕暮れ時の河川敷。
どこに居ても目立つ和服の彼。
「土方さん」
「おぅ…どうした?」
土方さんは
少し驚いて私の顔を見た。
「家にいなかったから、きっとここだと思って…」
「何か急ぎの用でもあったか?」
「何言ってるんです…土方さんが呼び出したんじゃないですか」
「……そうだったか?」
土方さんは首を傾げる。
「会いたいって…あんな声で呟かれたら…」
「…あぁ…あれは…」
土方さんは
ゆっくり顔をあげる。
夕日が辺り一面を橙色に
染めているせいで
すぐに気がつかなかったけれど
どうやら土方さんは
すごく恥ずかしがっていた。
「寝惚けてたんだ…」
「…え…?」
「夢でお前に会って…目が覚めたら知らねぇうちに電話してた…すぐ切ったから大丈夫だと思ってたんだか、聞かれてたとはな」
腕を組み
眉間に皺を寄せている。
頬がほんのり赤い。
「なーんだ…私何かあったのかと思って驚いたんですよ!!」
「まぁ、この夕日を見て帰れ」
視線の先には
丸くて大きな光の塊。
秋の夕日は木屑落としのように
瞬く間に地平線に消えてく。
今日の役目を終え沈んでいくが
またどこかで朝を迎える。
さっきまで水面を
キラキラさせていた光は闇に変わる。
世界はずっと続いてる。
――いつまでも、永遠に――
感動していたのに
土方さんに
背後から抱き締められた。
「毎日見てるんですか?」
「日課だからな」
「まさかお前に会えるとは思ってもみなかった」
「誘ってくれれば…散歩ぐらい、私はいつだって…」
腰回りを抱く土方さんの手に
そっと手を添える。
「嬉しいな、今日は俺が腕によりをかけて夕飯を作ってやる」
「楽しみにしてます」
2人はどちらからでもなく
自然と手を繋いで
河川敷を歩き始めた。