*温泉*
「わー!!」
旅館の窓から見える
山一面の紅葉に
感激して思わず声をあげる。
私は土方さんと
温泉旅行に来ている。
はしゃぐ私を見て
「子どもだな」
土方さんは小さな声で呟いた。
「何か言いました?」
「いや…」
そのあと私たちは
庭園を散歩して
美味しい夕食を楽しんだ。
そして…
待ちに待った温泉。
「湯中りするなよ」
「しませんよ」
そんな会話をしながら
それぞれ浴場へと向かった。
温泉に浸かりながら
土方さんの言動を思い出す。
いつも私のこと
子ども扱いするんだよね…
そりゃ土方さんは
すごく年上で余裕があるけど…
「う…なんか気分悪い」
気づけばすっかり長湯をして
頭がフラフラしていた。
慌てて脱衣場まで行き
なんとか浴衣は着たものの
私の意識は遠のいた。
…………
「………ん?」
目覚めると私は布団で寝ていた。
「ったく、あれほど湯中りするなと言っただろうが」
土方さんの呆れた声がする。
「す、すみません…」
(また迷惑かけちゃったよ…)
「どうせまた何か余計なこと考えてたんだろう」
「よ、余計なことって…私は土方さんのことを考えてて…」
ハッとして口をつぐむ。
「ふ…お前は本当に可愛いな」
顔が再び熱くなる。
少し離れたところに座っていた
土方さんが布団の
すぐ横に腰を下ろす。
私は布団で顔を隠した。
「俺もいつもお前のことばかり考えてる…お前が倒れたと聞いて俺がどれたけ心配したか、わかってんのか?」
「…………」
ゆっくり布団から顔を出すと
目の前に土方さんの顔があった。
「……!!!?」
驚くとほぼ同時に
少し強引に口を塞がれる。
「…ん…っ」
「俺がどれだけお前のこと好きか教えてやるよ…」
土方さんは艶やかに笑った。