*お見舞い*

私は学校帰りに
毎日沖田さんのお見舞い行く。
「こんにちは」
廊下ですれ違う病棟の
看護師さんたちに挨拶する。
「あら、こんにちは
毎日毎日ご苦労さまね〜」
笑顔の看護師さん。
まだ入院から数日しか
経っていないのに私はすっかり
病棟で有名人になっていた。
(私というか沖田さんが…)
「沖田さん…
迷惑かけてませんか?」
私が恐る恐る尋ねると
看護師さんは笑顔のまま
「そういえば昨日の夜…
点滴が漏れて針を差し替えなくちゃならなくなったんだけど大騒ぎだったみたいよ」
と、昨夜の出来事を話した。
「……すみません」
私は思わず頭を下げる。
「別にいいのよ〜暴れる患者さんなんて珍しくないし、沖田さんはイケメンだから許せちゃうのよね」
看護師さんは嬉しそうだった。
「そうですか…」

そのあと病室に向かいながら
私は悶々としていた。
やっぱ現代でも
沖田さんはモテちゃうんだ…。
早く退院して欲しいな。
ドアをノックして病室に入った。
沖田さんは寝ている。
昨日の夜騒いだから
疲れちゃってるのかな…?
そっと顔を覗き込むと
沖田さんはパチッと目を開けた。
「…わっ!?」
急に至近距離で目が合って
私は思わず声を上げる。
沖田さんは楽しそうに笑った。
「起きてたんですか!?」
慌てて距離を置く。
「あなたの足音がしたから」
沖田さんは起き上がって
優しく笑った。
「もうっ!!」
私は頬を膨らせた。

私は椅子に腰かけた。
「それより昨日の夜
大騒ぎしたそうじゃないですか」
「誰に聞いたんですか?」
沖田さんは驚いた。
「看護師さんが言ってました」
「そうですか…」
少し恥ずかしそうにしながら
腕を見せてくれた。
「なんか血の管が細いとかで、何回も刺されてしまって…伸びる紐で縛られるし、動いたらいけないと羽交い締めにされました…」
沖田さんの腕は痛々しかった。
「あれ?今は点滴ないですね」
「精をつける薬はもう終わりだそうです、今日からは朝晩だけ老咳に効く薬をするそうです」
「へぇー…」
少しの間、沈黙が走る。

「○○さん…?」
沖田さんが私の顔を覗き込む。
「………!?」
私の目には涙が浮かんでいた。
「……ごめんなさい…っ」
沖田さんは最初戸惑った顔をしていたがすぐに微笑んだ。
温かい指先が涙をすくう。
「謝らないで下さい」
そう言うと沖田さんは
そっと私の手を握ってくれた。
「私…夢なんじゃないかと思うの…沖田さんが元気なのが嬉しくて…胸がいっぱいで……」
「私もです、夢物語のようです…見るもの全てが珍しい」
優しい笑顔。
「でも…」
「……でも…?」
「これは夢物語ではありません」
ぐっと引き寄せられて私の顔は
沖田さんの胸に埋まった。
「お、沖田さん…ここ病室…」
「大丈夫です、当分見回りは来ませんから」
悪戯っぽい笑顔で
沖田さんは私に口づけした。