風邪をひいて寝込んでしまった。
熱があって頭がぼんやりしている。
(なんだか、一人でいると心細いな…)
置屋の自分の部屋で一人で寝ていると、段々心細くなってくる。
その時、襖の外から声がかかる
『○○、入っていいかい?』
突然の来客に驚きながらも、私は返事する。
『どうぞ』
私が答えると、襖を開けて入って来たのは、慶喜さんだった。
『よ、慶喜さん!』
私が慌てて体を起こそうとすると、慶喜さんが私を止める。
『ダメだよ。ちゃんと寝てないと』
そう言って優しく布団をかけ直してくれる。
『すみません、こんな格好で…』
私が謝ると、慶喜さんは優しく頭を撫でながら首を振る。
『いいんだよ。…私の方こそ、秋斉から熱を出したと聞いて、いてもたってもいられなくて、来てしまった…』
髪を撫でる優しい手と、優しい言葉に私は涙ぐんでしまう。
『わっ!○○どうしたの?しんどい?何か嫌だった?』
涙ぐむ私を見て、慶喜さんが慌てる。
私はふるふると首を振って、慶喜さんの手を握る。
『嬉しいんです…ちょっと心細くなっていたので…』
私がそう言うと、慶喜さんが優しく手を握り返してくれる。
『慶喜さん…手があったかいですね…なんだか、安心します』
私が言うと、慶喜さんが優しい笑顔をみせる。
『そうかい?○○が安心してくれるなら、このまま握ってるから少し眠るといいよ…』
慶喜さんにそう言われて私はゆっくり目を閉じる。
眠りに落ちかけたその時、唇に温かいものがそっと触れた。
驚いて目を開けると、目の前に慶喜さんの顔がある。
『あ、起こしちゃった?』
慶喜さんがいたずらっ子のように笑って言う。
『いい夢が見られるように、おまじない』
そう言って、人差し指で私の唇をすっとなぞる
『慶喜さん、風邪がうつってしまいますよ…』
私が恥ずかしくなって、布団を引き上げながら言うと、慶喜さんはにっこり笑って言う。
『そしたら、○○が看病してくれるんでしょ?』
私はその笑顔にドキドキして眠れなくなってしまうのでした