夏バテで熱を出したせいで、今日は自分の部屋で寝ておくように、と秋斉さんに言われてしまった。
新造仲間のみんなは、お掃除やお稽古に忙しそうにしている。
(熱って言っても大したことないし、ヒマだな〜)
そんなことを考えながら、布団の中でゴロゴロしているうちに、私はいつの間にか眠ってしまっていた。
私が眠っていると、静かに部屋の襖が開く。
入って来たのは秋斉さん。私の側に腰を降ろすと、心配そうに私を覗きこむ。
そして私の寝顔を見て優しく微笑んだ。
そっと優しい手つきで、私の額にかかる髪を払うと、
ゆっくりと秋斉さんの顔が近づいてくる。
秋斉さんは、コツンと私の額に自分の額を当てて熱を計る。
『熱は下がったみたいやなぁ』
額を離して、つぶやくと、
懐から手拭いを出し、私を起こさないようにそっと額や首に浮かぶ汗を拭ってくれる。
まるで壊れ物を扱うみたいに、秋斉さんの手は優しい。
汗を拭い終わると、布団をそっとかけ直してくれた。
秋斉さんは、すやすやと寝息を立てる私をいつも以上に優しい笑顔で見つめると、今度はたもとから、一輪の小振りの向日葵の花を取り出した。
私のことを見つめながら、小さな声でつぶやく
『この花がいっつもお日さんの方を向くように、私も○○はんのことだけを…』
そう言って、そっと枕元に向日葵を置くと、
熱を計った時と同じように、秋斉さんの顔が近づいてくる。
たださっきと違うのは、触れたのが額ではなく、唇だった。
軽く触れるだけの口づけの感触に、私は目を覚ます。
『夢…?』
そう思いながら、無意識に唇に触れて、
秋斉さんの口づけを思い出して、思わず赤くなってしまう。
ふと枕元に目をやると、一輪の小ぶりな向日葵が私の方を向いていて、夢が現実だったと教えてくれた。
私は、そっと向日葵を手に取って秋斉さんを思って優しく口づけすると、
向日葵を見つめながら、再び幸せな眠りにつくのでした。