私がバラを渡すのは沖田さん。
私が照れながらバラを差し出すと、沖田さんも頬を赤くしながら、嬉しそうに笑って受け取ってくれた。
『ありがとうございます。』
2人して照れていると、みんなの声が聞こえてくる。
『なんか…○○を取られて悔しいんだけど、微笑ましいって思うのは何故だろうね?』
慶喜さんが言うと、土方さんがため息をつきながら言う。
『総司だから…ですかね。』
『まだまだ、お子様な2人だからじゃねぇか?』
高杉さんが便乗すると、秋斉さんがたしなめる。
『それを言わはるんやったら、初なお二人やからとちゃいますか?』
秋斉の言葉に、翔太君までもが頷く。
『○○はともかく、沖田さんもですからね。』
『翔太が言うとは、沖田くんはかなりの奥手ちうことか…』
好き勝手なことを言うみんなの声に、真っ赤になってうつむいていると、沖田さんが手をとって歩き出す。
『行きましょう』
それだけ言って出口に向かう沖田さんを見上げると沖田さんの耳も赤くなっている。
『あの…どこへ?』
『五月蝿い人達がいない所です。』
前を向いたまま、そう言うと沖田さんは私を外へと連れ出した。
手を引かれるまま無言で歩き続けて、たどり着いたのは、街の夜景が見える小高い丘の上の公園だった。
人気がなく静まり返った公園で、ようやく沖田さんが足を止める。
『すみません、行き先も言わずに連れ出したりして…』
沖田さんが申し訳なさそうな顔で言うので、私は慌てて首を横に振る。
『…連れ出してくれて良かったです。…みんなに色々言われて恥ずかしかったから…』
私がそう言うと、沖田さんはちょっと安心したように笑って言う。
『良かった…私も、照れくさかったんです。…それに、○○さんと2人になりたかったから…』
そう言われて、頬が赤くなってしまう。
(みんな沖田さんをうぶとか言うけど…こうゆうことは、さらっと言うんだよね…)
『座りましょうか?』
そう言われて、近くのベンチに並んで腰を下ろす。
手は握ったままだけど、2人の間には微妙な隙間。
2人でぼんやり夜景を見ていると、体が冷えてきて思わずくしゃみが出てしまった。
『寒いですか?』
沖田さんが心配そうに、私の顔を覗きこむ。
『少しだけ…でも、大丈夫です。』
そう答えた途端に、またくしゃみが出てしまう。
沖田さんは、少し考えてから私に自分の上着をかけてくれる。
『これじゃあ、沖田さんが寒いですよ』
私が上着を返そうとすると、その手をとってそのまま引き寄せられる。
『大丈夫ですよ。私は○○さんに温めてもらいますから』
引き寄せられた私は、沖田さんの胸に体を預けるような格好で抱きしめられる。
伝わってくる沖田さんの温もりと、鼓動に私はドキドキしてしまう。
沖田さんの温もりにドキドキしていると、沖田さんが言う
『○○さんも、みんなが言うように私を初で奥手な男だと思いますか?』
突然の問い掛けに、驚いて顔を上げると真剣な目で私を見つめる沖田さんと目が合った。
真っすぐに見つめられて、私は瞬きも呼吸も忘れてしまいそうになる。
そのまま沖田さんを見つめていると、私を抱き締める腕に力が込められ、一瞬のうちに唇を奪われた。
いつもの沖田さんからは、想像できないような強引な口づけに私は目を閉じるのも忘れてしまう。
唇が離れると沖田さんが、苦しげな目で私を見つめて言う、
『本当は違うんです…いつだってあなたを私のものにしてしまいたいと思ってる…』
『ただ…あなたに嫌われたくなくて、初なふりをしてるだけのずるい男です…』
その言葉に私は首を横に振る
『ずるいだなんて思いません。…大事にしてくださってるんだと思います…』
私はそこで言葉を切って、ちょっとうつむいて言葉を続けた。
『でも…たまには、強引な沖田さんになってほしいかな…』
恥ずかしくて沖田さんの顔を見れずにうつむいていると、顎に手が添えられて上を向かされる。
すぐに沖田さんが口づけをする。
今度はさっきよりも長く深く口づけられて、吐息が漏れる。
体が熱くなるような口づけが終わると、沖田さんが言う。
『こんな私がいいんですか?』
その問いかけに真っ赤になって頷くと、沖田さんが嬉しそうに笑いながら言う。
『いけない人ですね、そうやって私を狂わせる…』
そう言ってまた口づけられる。
甘く痺れるような口づけに、私達はお互いの熱を分け合うように何度も唇を重ねたのでした。