私がバラの花を手にとって土方さんの前に立つと、土方さんは少し驚いた顔をして、すぐに優しい笑顔を見せてくれた。
『俺でいいのか?』
差し出したバラを受け取りながら、土方さんに聞かれて私は無言で頷いた。
すると、土方さんが優しく私を抱きしめて耳元で言う。
『もし、他の奴を選んだとしても、かっさらってでも俺のものにするつもりだったけどな』
その言葉に顔が熱くなる。
すると背後から残念そうな声が聞こえる、
『あ〜あ、やっぱり土方かぁ…』
『慶喜はん、見苦しゅおすえ。男は引き際も肝心どす。』
その声に、みんながいた事を思い出して、慌てて離れようとしたけれど土方さんは抱きしめた腕を緩めてくれない。
『ひ、土方さん…みんな見てますから…』
私が小声でそう言うと、土方が少し笑って答える。
『だからだよ。こうして、お前が誰のもんかって思い知らせとかねぇとな。』
『あほらしい、俺は人の色恋に興味ねぇから、帰るぜ…あ、○○。鬼に愛想が尽きたら、いつでも俺のとこに来いよ』
そう言って、高杉さんが部屋から出て行く。
『翔太、わしらも帰るぜよ。』
『はい…』
龍馬さんの言葉に頷く翔太君の声は、今まで聞いたことがないほど元気がない。
『沖田はん、そう落ち込まんと…せっかくやし、慶喜はんもいれて、3人で飲みましょ。』
秋斉さんに連れられて、みんなが部屋から出て行くと、急に部屋が静かになった。
『あの…土方さん?みんな帰っちゃいましたよ?』
私がそう言うと、土方さんが抱きしめていた腕を緩めて私を見つめる。
『今からは、俺とお前だけの時間だからな。』
そう言って、私の手を引いてソファに腰を下ろすと、足の間に私を座らせて後ろから抱きしめられる。
しばらくそうして抱きしめられていると、土方さんがぽつりと言う
『正直お前が俺を選ぶとは思ってなかった…』
そう言って私の肩に額をつける。
『どうしてですか?』
『俺は優しいとは言えねぇし、お前を喜ばすこともうまくできねぇからな…』
そう言って土方さんが少し笑う
『そんなことありません。…土方さんはお優しい方ですし、私は土方さんといれることが嬉しいんです。』
そう言って振り向くと、少し照れた土方さんが私を見つめている。
『お前は怖い女だな…そうやって俺を骨抜きにしちまうんだからな…』
そう言いながら、私の頬に手をあててゆっくりと顔を近づける。
私がそれに合わせて目を閉じると、温かい唇が重なった。
触れるだけの口づけを繰り返すうちに、体の力が抜けて土方さんに体を預けるようにしてしまう。
そのまま土方さんに抱き上げられて、奥の部屋へと運ばれる。
大きなベッドにそっと私をおろすと、土方さんが上着を脱いで、ネクタイを外す。
それだけのことなのに、私の胸がドキドキと音を立てる。
シャツのボタンも外し、土方さんの逞しい体が覗いて、私は目のやり場に困ってしまう。
赤くなって顔を背けていると、目の前に土方さんの腕が見えた。
驚いて前を向くと、土方さんが上から見おろしている。
『○○』
優しい声で私の名前を呼んで、さっきまでとは違う甘い口づけをする。
私は土方さんの熱に溶かされてしまいそうで、土方さんの首に手をまわす。
土方さんの口づけが、私を確かめるように頬に、額に、耳に、首筋に落とされる。
その口づけの雨に酔いしれていると、胸元に鋭い痛みが走る。
『印つけといた』
そう言って、土方さんが再び唇に深く口づける。
深い口づけの合間に、土方さんが囁くように言う
『○○。愛してる』
その言葉に私が応えようとすると、口づけで声を奪われてしまう。
土方さんの指が私の服ボタンをゆっくりと外すのを感じながら、土方さんの温もりに身を委ね、そのまま2人で甘く溶け合うような時間を過ごしたのでした。