『なぁ秋斉、今日は○○はどうしてるんだい?』
慶喜さんがお茶を飲みながら聞く、
『○○はんやったら、お稽古に行ってはります。』
私は帳簿をつけながら答える。
『ふ〜ん…最近全然○○の顔見てないなぁ…遊びに来ても、お稽古やお使いで留守ばかりだし…』
慶喜さんが口を尖らせて言う。
私は、その様子をチラリと横目で見ると薄く笑う。
(ホンマはわざとお稽古やお使いたのんでるんやけど…)
『そうでしたやろか…、○○はんはよう頑張ってくれてはるし、お元気にしてはりますえ』
涼しい顔でそう答えると、くるりと慶喜さんに向き直ると、きっぱりとした口調で言う、
『慶喜はん、あんさん今日は大事な会議がありますやろ、こんなところで油売ってんと、はよお戻りになりよし』
『○○が帰って来るまで…』
抗議しようとする慶喜さんをジロリと睨む。
『わかったよ…』
渋々立ち上がった慶喜さんを玄関まで見送る。
『○○によろしくね』
不満顔の慶喜さんの背中が見えなくなった頃、背後から声がする。
『秋斉さん、ただいま戻りました。』
その可愛らしい声に私は笑顔で振り向くのだった。